多汗症の現状
日本国内の多汗症
全国疫学調査の結果、原発性局所多汗症の有病率は全体で12.8%、そのうち腋窩においては5.8%と報告されています。このデータから、日本国内には約531.9万人の腋窩多汗症患者がいると推定されています。しかし、原発性局所多汗症の患者が医療機関を受診する割合はわずか6.2%にとどまっており、受診した患者の中で実際に何らかの治療を受けた割合も10%未満と非常に低いことが明らかになっています。
また、多くの患者は日常生活に大きな支障を感じながらも、多汗症に対する対処法として「市販製品の利用」や「特に何もしない」という選択をしている現状があります。このような状況から、多汗症に対する効果的な治療法の開発や普及が強く求められていると言えるでしょう。
多汗症の主な治療法
腋窩多汗症や腋臭症の治療法として、外科的な汗腺除去が挙げられます。この治療は、汗腺を直接取り除くため高い効果が期待できますが、術後には患部の圧迫固定や通院・入院が必要になる場合があり、患者の生活に支障をきたすこともあります。
一方で、非侵襲的な治療法として A型ボツリヌス毒素の皮内注射があります。この方法は比較的安全に実施できるものの、効果の持続期間はおおよそ4~9ヶ月程度とされています。そのため、長期間にわたり効果を維持するためには定期的な施術が必要となり、結果として経済的負担が増す場合もあります。
外科的な汗腺除去や皮内注射に比べて、より手軽でコストを抑えた治療法として、抗コリン薬の内服、塩化アルミニウムの外用、イオントフォレーシスが挙げられます。ただし、これらの治療は毎日または週数回の頻度で行う必要があり、中断すると発汗は治療前の状態に戻る傾向があります。また、これらの方法は腋臭症に対しては十分な効果を発揮しないとされています。
ミラドライで解消できる悩みとは
ワキガや多汗症で悩む方にとって、日常生活がストレスになることも少なくありません。ミラドライは具体的にどのような悩みを解決できるのでしょうか?
ミラドライは、ワキガや多汗症の根本原因である汗腺に直接アプローチします。その結果、以下のような悩みを解決できます。
◇ワキガの臭いが改善する
◇脇汗の量が劇的に減る
◇汗じみや服の黄ばみが減少する
例えば、電車内やオフィスでの汗の不快感や臭いを気にせず過ごせるようになるのは、患者様にとって大きなメリットです。さらに、デオドラント製品に頼らなくても快適な生活を送れるようになる点も魅力的です。
ミラドライとは
マイクロ波を用いた新しいアプローチ
miraDryⓇ(ミラドライ)は、マイクロ波によるワキ汗治療器として、国内で薬事承認を取得して います。
またミラドライの効果と安全性は FDA※ で認められており、腋窩多汗症、腋臭症、減毛の適応で承認を取得しています。(日本国内では腋窩多汗症のみ、薬事承認を取得しています。)
※FDA(Food and Drug Administration):アメリカ食品医薬品局、日本の厚生労働省にあたる政府機関
マイクロ波は、双極子モーメント(プラス極とマイナス極)をもつ分子を振動させ、熱を発生させます(誘電加熱)。
ミラドライは、5.8GHz のマイクロ波を採用しており、毎秒 58 億回振動します。
ミラドライによるワキ汗治療のメカニズム
皮膚にマイクロ波を照射すると、細胞内の水分子が振動し、熱を発生させます(誘電加熱)。皮下組織と真皮では伝導性や誘電率が異なるため、マイクロ波は皮下組織で反射し、汗腺が存在する真皮深層から皮下組織浅層にかけて温度の高い「ヒートゾーン」を形成します。この熱により、汗腺が焼灼・凝固されます。
ミラドライが非侵襲的でありながら、高い治療効果を長期間にわたって維持できる理由として、以下の点が挙げられます。
♢汗腺が存在する層を広範囲に加熱できること
点ではなく、領域全体を効率的に加熱できるため、打ち漏れのリスクが軽減されます。
♢高温での加熱が可能であること
低温では汗腺に十分な熱損傷を与えることが難しい一方、高温での加熱により汗腺を焼灼・凝固させ、確実な効果を得ることができます。
さらに、皮膚表面にはコンタクト・クーリングが施されており、ヒートゾーンを真皮と皮下組織の境界付近にとどめます。この技術により、表皮や真皮浅層への熱伝導が抑制され、これらの層が熱損傷を受けるリスクを回避できます。
これらの仕組みによって、ミラドライは非侵襲的でありながら、安全かつ効果的なワキ汗治療を実現しています。
ミラドライの効果と安全性
FDA(米国食品医薬品局)の承認を受けた医療機器
ミラドライは、FDA(米国食品医薬品局)の承認を受けた医療機器です。このことは、安全性と効果が科学的に証明されていることを意味します。さらに、施術中には皮膚を冷却しながら治療を行うため、火傷や皮膚へのダメージを最小限に抑える設計となっています。
外科的な治療では、術後に患部の固定や圧迫などの処置が必要になりますが、ミラドライの場合、これらの処置が不要である点が大きなメリットです。また、血腫ができるリスクや術後のトラブルも少なく、患者にとって負担が軽減されます。さらに、圧迫固定や通院・入院の必要がないため、日常生活への影響はほとんどありません。
ミラドライでは、皮膚を冷却する仕組みを採用しており、これにより表皮や真皮の浅い層が熱損傷を受けるのを防ぎます。その結果、熱傷や合併症、色素沈着といったリスクは非常に低く抑えられています。一時的な赤みや腫れが生じることはあるものの、重篤な有害事象はこれまで報告されていません。
安全性と効果を高めるプロトコール
ミラドライ治療における局所麻酔では、術野全体に麻酔混合液(以下、ツーメセント混合液)を大量に注入するツーメセント法が推奨されています。この方法により、注入されたツーメセント混合液が神経を圧迫・押し下げ、神経損傷のリスクを軽減します。
さらに、高エネルギーでの照射が可能になるため、神経や筋膜へのダメージを抑えつつ、より効果的な治療を実現します。これにより、高いエネルギーレベルを用いた治療が安全に行えるようになり、治療効果の向上が期待されています。
ミラドライを選ぶメリット
- 傷痕が残らない
- 治療後の痛みは手術より少なく済む
- ダウンタイムによる日常生活への影響は軽度
- 効果が長続きし、長期的にみると経済的
こんな人におすすめ!ミラドライが向いている人とは
ワキガや多汗症で悩む方
ワキガや多汗症に悩む方にとって、日常生活がストレスになることがあります。ミラドライはどんな方に最適なのでしょうか?
ミラドライは、ワキガや多汗症に悩む方に非常に効果的な治療です。例えば、夏場の汗じみや臭いを気にして服装を選んだり、人と接することを避けたりしていませんか?ミラドライは、こうした悩みを根本から解決する治療としておすすめです。
一度の施術で汗腺を破壊できるため、汗の量が大幅に減少します。特に、デオドラント製品を使用しても効果が薄い方に向いています。
切らない治療を望む方
「手術は怖い」「ダウンタイムが取れない」と思っている方にも、ミラドライは最適な選択肢です。
ミラドライは、切らない治療法として人気があります。従来のワキガ治療では、汗腺を取り除く手術が一般的でしたが、ミラドライは外科的な切開が不要です。このため、傷跡が残る心配がなく、短時間で治療が完了します。
例えば、仕事や家事で忙しい方にとって、長いダウンタイムが必要ない点は非常に魅力的です。施術後はすぐに日常生活に戻れるため、忙しい生活の中でも気軽に受けられます。
忙しい生活の中で短時間の施術を求める方
時間に余裕がない方でも、ミラドライは効率よく施術を受けられる方法です。
ミラドライの施術時間は約1時間程度で完了します。また、施術後は軽い腫れや赤みが出ることがありますが、ほとんどの場合、翌日から通常の生活を送ることができます。
例えば、平日の空き時間に施術を受けることができるため、忙しいビジネスパーソンや子育て中の方に最適です。短時間で効果を実感できる治療法として、特に忙しい現代人におすすめです。
ミラドライ施術を受ける前に知っておきたいこと
ミラドライ施術のリスクを理解する
どんな治療にもリスクはつきものです。ミラドライ施術のリスクを事前に理解しておきましょう。
ミラドライのリスクには、以下のようなものがあります。
◇一時的な腫れやしこり
◇軽いしびれや違和感
◇効果が期待通りでない場合がある
例えば、術後の腫れは通常数日で治まりますが、まれにしびれが数週間続く場合もあります。このようなリスクを把握し、納得した上で施術を受けることが大切です。
診察時にも詳しくご説明いたしますので、ご安心くださいませ。
ミラドライの施術に関するよくある質問
ミラドライの効果はどのくらい続く?
医学的根拠に基づいたメカニズムによって、発汗の減少が確認されており、国内薬事承認、および FDA 承認を取得しています。
※効果のあらわれ方には、個人差があります。
ミラドライは一度の施術で、汗腺のほとんどを破壊することができます。汗腺は再生しないため、効果は基本的に半永久的です。例えば、一度の施術でワキガや多汗症の悩みが大幅に軽減されたという声が多く寄せられています。
ただし、個人差があるため、必要に応じて追加の施術を検討することも可能です。効果の持続期間については、カウンセリング時に医師に確認すると安心です。
臭いも減る?
汗の量が減ることにより、汗臭軽減効果も期待できます。
※効果のあらわれ方には、個人差があります。
痛みや副作用はあるの?
ミラドライの施術中は、局所麻酔が使用されるため痛みを感じることはほとんどありません。施術後には、軽い腫れや赤みが見られる場合がありますが、数日以内に治まることが一般的です。
また、副作用として稀にしこりやしびれが生じることがありますが、時間とともに改善します。
施術を受けられないケースとは
以下のようなケースでは、ミラドライの施術を受けられないことがあります。
◇妊娠中または授乳中の方
◇ペースメーカーを使用している方
◇施術エリアに皮膚疾患がある方
安全性は?
重篤な有害事象の報告は、ありません。血腫ができるリスクや術後のトラブルが少なく、ダウンタイムによる日常生活への影響は、軽度です。
効果はいつ頃から感じられる?
治療直後から効果を実感される方が多いのが特長です。また、治療 1 ヶ月後において、被験者の 83%以上に HDSS スコアの改善が認められています。
※効果のあらわれ方には、個人差があります
引用元:Lupin, M., Hong, H. C. H., & O'Shaughnessy, K. F. Long-term efficacy and quality of life assessment for treatment of axillary hyperhidrosis with a
microwave device. Dermatologic Surgery, 40(7), 805-807, 2014
1回で効果がある?
多くの方は 1 回治療ですが、必要に応じて、医師の判断により 3 ヶ月以上の期間を空けて、次の治療を実施します。
1 回目の治療で効果を実感して 2 回目も受ける、という患者様もいらっしゃいます。
※効果のあらわれ方には、個人差があります。
ミラドライの料金と費用対効果
ミラドライの施術料金
※準備中。
費用対効果はどのくらい?
ミラドライの費用は決して安くありません。しかし、その費用対効果を考えると納得の理由があります。
ミラドライは一度の施術で汗腺を破壊するため、半永久的な効果を期待できます。例えば、長年のデオドラント製品やワキガ対策にかけていた費用を考えると、ミラドライはコストパフォーマンスの高い選択肢です。
さらに、施術後は制汗剤を使わなくても安心して過ごせるため、日常生活の質が大幅に向上します。このように、金額以上の価値を提供してくれる治療です。
保険適用は可能?
ミラドライは、アメリカのFDA(日本の厚生労働省に相当する機関)および日本の厚生労働省から薬事承認を取得している治療法です。この承認は、豊富な治療実績に基づき、安全性と効果が十分に認められていることを示しています。そのため、保険適用外であることを理由に効果や信頼性に疑問を抱く必要はありません。
一方で、日本で保険診療として認められている治療法は、厚生労働省が定めたものに限られます。わきが治療においては、「剪除法(せんじょほう)」のみが保険適用の対象となっており、ミラドライには保険が適用されません。
新しい治療法で保険が使えない場合、不安を感じる方もいるかもしれませんが、ミラドライはその効果と安全性が高く評価されている治療法です。安心して治療をご検討いただけます。
ミラドライ治療の流れ
1 ①局所麻酔 (ツーメセント法)
照射前に麻酔を行います。
2 ②照射部位の マーキング
次に照射部位のマーキングを行います。
3 ③照射
治療時間の目安は、準備から照射終了まで、両ワキで 90~180 分程度です。
4 ④アイスパック 冷却
治療後は、アイスパックによる冷却を15~20 分程度行います。