「チルゼパチド(Tirzepatide)を始めたら抜け毛が増えた気がする…」
商品名マンジャロの有効成分としても知られるチルゼパチド。 最新のGLP-1/GIP受容体作動薬が広まるにつれ、当院にも同様のご相談が増えています。この記事では、あなたの不安を解消するため、FDA(アメリカ食品医薬品局)の有害事象報告や医学論文といった信頼性の高い一次資料をもとに、チルゼパチドと抜け毛の関係を事実ベースで分かりやすく解説します。
目次
1. 肥満治療薬と副作用
1-1. 共通する副作用
GLP-1作動薬(セマグルチド等)や、チルゼパチドのようなGLP-1・GIP二重作動薬は、体重管理の目的で広く使われるようになりました。これらの薬に共通する主な副作用は、作用機序に由来する吐き気や便秘などの消化器症状です。
一方で、FDAに報告された全80,482件の副作用データを見ると、皮膚に関連する報告も4,896件(6.08%)ありました(Ituarte et al. 2024)。その内訳は、発疹(21.79%)、かゆみ(17.95%)、脱毛(13.97%)などが上位を占めています。
※これらは自発的な報告の割合であり、実際の発生率ではありません。
1-2. チルゼパチドの副作用の特徴(皮膚領域)
薬剤別に副作用報告の割合を比較した研究(Ituarte et al. 2024)では、チルゼパチドで「脱毛」と「蕁麻疹」の報告が相対的に高い傾向が示されました。一方で、発疹やかゆみは他のGLP-1作動薬の方が多いという結果でした。
データ上のポイント
チルゼパチドの皮膚関連報告では、脱毛が22.7%、蕁麻疹が14.9%と、統計的に有意に高い割合を示しました(p<0.001)。
注意点: FDAのデータベース(FAERS)は自発報告に基づくため、このデータだけで薬との因果関係を断定することはできません。
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LINEに追加する2. チルゼパチドによる「抜け毛」の真偽
2-1. なぜ抜け毛が起こると考えられるのか?
チルゼパチド使用中に抜け毛が報告されやすい背景には、複数の要因が考えられます。最も一般的なのは、急激な体重減少に伴う「休止期脱毛(Telogen Effluvium)」です。これは、体が大きな変化(ストレス)を感じた際に、一時的に髪の毛が抜けやすくなる現象です。その他、栄養バランスの乱れも関係している可能性があります。
2-2.【反対意見】髪が増えた症例報告も
興味深いことに、チルゼパチド単剤の治療で、逆に毛量が増加したという57歳男性の症例報告も存在します(Gordon et l. 2024)。この男性は男性型脱毛症(AGA)を患っていましたが、治療開始から6か月で毛量が増え始め、1年後にはさらなる改善が写真で確認されました。
この症例では、チルゼパチドがインスリン抵抗性を改善したことが、毛髪に良い影響を与えた可能性が指摘されています。インスリン抵抗性は、頭皮の血流悪化や男性ホルモンの影響を増強させ、薄毛の原因となりうるためです。
この症例報告から分かること
この報告はたった1例のため、全ての人に当てはまるわけではありません。しかし、体の代謝状態を正常化することが、髪の健康にプラスに働く可能性を示唆する貴重なデータと言えます。
2-3. 結論:私たちはどう考えればいいのか?
現状の情報を整理すると、以下のようになります。
-
✓ データ上の傾向: チルゼパチドは、他の薬より「脱毛」の報告割合が相対的に高い(ただし因果関係は不明)。
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✓ 主な原因: 急激な体重減少による一時的な「休止期脱毛」の可能性が高い。
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✓ 反対の可能性: 代謝が改善することで、長期的に髪質が改善する可能性も否定できない。
最終的には、個人の体質、減量のペース、栄養状態などを総合的に判断することが重要です。不安な場合は、減量ペースの調整、栄養指導、または皮膚科での専門的な治療を検討しましょう。
3. よくある質問(FAQ)
Q1. チルゼパチドで本当に「抜け毛」は起こりやすいの?
FAERS(FDA有害事象報告システム)の解析では、皮膚関連の副作用報告の中で「脱毛」が上位に含まれ、チルゼパチドは他の類似薬と比較して「脱毛」「蕁麻疹」の報告割合が相対的に高い傾向が示されました(Ituarte et al. 2024)。ただし、これは報告の割合であり、実際の発生率を示すものではありません。
Q2. いつごろ始まり、どのくらい続きますか?
多くは「休止期脱毛」に該当し、急な体重減少などの引き金から2〜3か月後に抜け毛が増え始めます。原因が解消され、体が慣れてくれば3〜6か月で落ち着くのが一般的です(個人差があります)。
Q3. 標準体型の人が使うとリスクは?
代謝改善の余地が小さい分、過度なカロリー制限や急激な減量による休止期脱毛が目立ちやすい可能性があります。無理な減量は避けることが大切です。
Q4. 反対に「髪が増えた」ケースがあるって本当?
はい。チルゼパチド単剤で6か月から1年かけて毛量が改善した症例(Gordon et l. 2024)が報告されていますが、1例のみの報告であり、一般化はできません。
Q5. 予防と対策は?
- 栄養管理:十分なエネルギーとタンパク質、そして髪に必要な鉄・亜鉛・ビタミンB群をしっかり摂りましょう。
- 減量ペースの調整:急激な減量を避け、医師と相談して薬の用量や増やす間隔を調整しましょう。
- 専門的な治療:薄毛(AGA/FAGA)が合併している場合は、皮膚科で外用薬や内服薬の治療を検討します。自己判断での内服薬開始は避けてください。
4. まとめ
- チルゼパチドの副作用として「脱毛」の報告割合は相対的に高いですが、これは報告データ上の傾向であり、薬との直接的な因果関係は確立されていません。
- 主な原因は、急激な体重減少にともなう一時的な「休止期脱毛」である可能性が高いと考えられます。
- 一方で、代謝状態(インスリン抵抗性)が改善することで、逆に毛量が増加したという症例報告も存在します(ただしn=1)。
- 抜け毛が気になる場合は、栄養状態の見直し、減量ペースの調整を行い、必要であれば医師に薬の用量調整や中止の相談をすることが重要です。
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