ゼップバウンドとは?
ゼップバウンドは、米Eli Lilly社が開発した肥満症を適応とする週1回の自己注射薬です。日本では2024年12月に厚生労働省より製造販売承認を取得し、2025年4月に発売されました。
主成分はチルゼパチドで、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)とGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)の二つの受容体に同時に作用するデュアル作動薬という設計が特徴です。二つの経路に作用することで、食欲のコントロールや満腹感の持続、糖代謝・脂質代謝への複合的なはたらきが期待されています。
なお、ゼップバウンドは保険診療で処方する場合に、肥満症の診断基準・施設要件・栄養指導体制などが定められた最適使用推進ガイドラインの対象薬剤となっています。当院では自費診療として取り扱っております。診察時にお身体の状態と治療目的をうかがった上で、適応・用量・継続プランをご提案いたします。
こんな方におすすめ
- 食事・運動だけでは体重コントロールが難しいと感じている方
- 食欲のコントロールに繰り返し悩んでいる方
- 週1回の自己注射でゆるやかに体重管理を続けたい方
- 肥満に伴う健康リスク(高血圧・脂質異常・睡眠時無呼吸など)が気になる方
- 自宅で継続したい方・通院の負担を抑えたい方
- LINEでのオンライン診療に対応してほしい方
ゼップバウンドが選ばれる3つの特徴
ゼップバウンドには、作用の仕組み・投与頻度・用量設計の3点に特徴があります。それぞれの特徴を、診察時にお身体の状態と治療目的に照らし合わせながらご説明いたします。
GLP-1/GIPのデュアル受容体作動
ゼップバウンドの主成分チルゼパチドは、GLP-1とGIPという二つの受容体に同時に作用する設計の薬剤です。
GLP-1は満腹感の伝達や食後血糖の調整に、GIPはインスリン分泌や脂肪細胞でのエネルギー利用に関わる経路として知られており、両経路への同時アプローチが、食欲のコントロールや糖・脂質代謝への複合的なはたらきにつながると報告されています。
海外で実施された大規模な臨床試験(SURMOUNT試験)でも、用量に応じた段階的な体重変化が確認されています。
週1回の自己注射
ゼップバウンドはペン型のオートインジェクター(自動注射器)で、週に1回・同じ曜日にご自身の腹部・大腿部・上腕部のいずれかに皮下注射します。針は細く短く、ボタン操作で薬液が注入される設計のため、自己注射が初めての方でも比較的取り組みやすい剤型です。
毎日服用する経口薬と比べて投与の回数が少ないため、ライフスタイルに合わせて続けやすい点が特徴です。初回投与時はオンラインまたは院内で看護師による手技説明を行い、ご自宅での投与に不安がないようサポートいたします。
5段階の用量設計
ゼップバウンドには2.5mg・5mg・7.5mg・10mg・12.5mg・15mgの6つの用量規格があり、最初の4週間は身体を慣らすためのスタータードーズ(2.5mg)から開始します。その後は経過に応じて4週ごとに2.5mgずつ増量し、効果と忍容性のバランスを見ながら維持用量を決めていきます。
最初から高用量を投与するのではなく段階的にステップアップする設計のため、消化器症状などの初期の身体反応をやわらげながら継続しやすい点が特徴です。診察ごとに体重・体調・副作用の有無をうかがい、用量調整をご提案いたします。
ゼップバウンドのメリット・デメリット
メリット
- 週1回の自己注射で、毎日服用する手間がない
- GLP-1/GIPの2経路に作用する設計
- 6規格の用量で身体の反応に合わせて調整できる
- 食事制限だけに頼らない体重管理のアプローチが可能
- 海外の大規模試験で有効性・安全性のデータが報告されている
- LINEで全国オンライン診療に対応
デメリット
- 投与初期に吐き気・便秘・下痢などの消化器症状が出ることがある
- 効果の感じ方には個人差があり、すべての方に同様の変化が起こるとは限らない
- 当院では自費診療となるため、保険診療の対象外
- 投与を中止すると体重が戻る場合があり、生活習慣の見直しとの併用が望ましい
治療の流れ

1 ご予約
公式LINEからご予約ください。問診票で現在の体重・既往歴・服用中のお薬・治療歴をうかがいますので、診察前にご記入をお願いいたします。
オンライン診療・ご来院のいずれもLINEからご予約いただけます。
予約はこちらから

2 診察・カウンセリング
医師がBMI・既往歴・服用薬・これまでの体重変化などをうかがい、ゼップバウンドの適応・禁忌に該当しないかを確認します。期待される作用と注意点をご説明し、リスクと選択肢にご納得いただいた上で開始時用量を決定します。診察はオンライン(ビデオ通話)またはご来院のいずれかをお選びいただけます。

3 お薬のお受け取りと自己注射の指導
オンライン診療の場合は、ご自宅まで配送でお薬をお届けします。ご来院の場合は院内でお渡しいたします。看護師がペン型注射器の使い方・注射部位・保管方法をご説明します。投与後は定期診察(4週ごと目安)で体重・体調・副作用をうかがい、用量調整をご提案いたします。
ご予約前に必ずご確認ください
禁忌(投与してはいけない方)
添付文書において投与が禁止されている方です。下記に該当する場合は処方できません。
- 甲状腺髄様癌の既往またはご家族歴のある方
- 多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の方
- チルゼパチドおよび本剤の添加物に過敏症の既往がある方
慎重投与・注意(医師への申告必須)
下記に該当する場合は、診察時に必ず医師にお申し出ください。投与の可否・用量を慎重に判断します。
- 急性膵炎・慢性膵炎の既往またはハイリスクの方
- 重度の消化器疾患(重度の胃不全麻痺など)のある方
- 1型糖尿病・糖尿病性ケトアシドーシスの方
- 妊娠中・授乳中・妊娠の可能性のある方
- 18歳未満の方
- 重度の腎機能・肝機能障害のある方
- 全身麻酔を伴う手術・処置を控えている方
治療中の注意事項
- 開始初期は吐き気・便秘・下痢などの消化器症状が出ることがあります。多くは身体が慣れることで軽減しますが、症状が強い場合はご相談ください
- 食事は少量ずつ・よく噛んでお召し上がりください。脂質の多い食事は症状を強めることがあります
- 十分な水分摂取を心がけ、体重急減や脱水のサインにご注意ください
- 妊娠を希望される方は、投与中止後一定期間あけてからの計画をご相談ください
- 強い腹痛・嘔吐・視覚異常・重度のめまいなどの症状が出た場合は、速やかに当院または最寄りの医療機関にご連絡ください
ゼップバウンドに関するよくある質問
Q1. ゼップバウンドとマンジャロは何が違いますか?
A. ゼップバウンドとマンジャロは、いずれも有効成分が「チルゼパチド」ですが、日本で承認されている適応が異なります。マンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されており、ゼップバウンドは肥満症の治療薬として承認されています。当院では両方の製剤を取り扱っており、患者さまの治療目的・既往歴・体格などを踏まえて医師が適切な選択肢をご提案いたします。
Q2. ウゴービとはどう違いますか?
A. ウゴービは別の有効成分(セマグルチド)を用いた肥満症治療薬で、ゼップバウンド(チルゼパチド)とは作用機序・用量設計が異なります。どちらが適しているかは、患者さまの体格・既往歴・これまでの治療歴によって変わります。
Q3. どれくらいで体重に変化を感じますか?
A. 海外の臨床試験では、用量に応じて投与開始から数か月以上のスパンで段階的な体重変化が報告されています。ただし変化の出方には個人差が大きく、食事・運動の生活習慣との組み合わせが大切です。短期間での急激な変化を目指す治療ではなく、ゆるやかに長期で続ける設計の薬剤とお考えください。
Q4. 副作用が心配です。出やすい症状はありますか?
投与初期に吐き気・便秘・下痢・食欲低下などの消化器症状が出ることがあります。多くは身体が慣れることで軽減しますが、強く出る場合は用量の見直しや一時的な減量を行うことがあります。添付文書では重大な副作用として、低血糖・急性膵炎・胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸・アナフィラキシー・血管性浮腫・イレウスが記載されています。激しい腹痛・嘔吐・全身のじんま疹・顔の腫れなどが出た場合は、ただちにご連絡ください。
治療をやめたら体重は戻りますか?
A. 投与を中止すると、食欲や満腹感のはたらきが投与前の状態に戻るため、生活習慣によっては体重が戻ることがあります。治療と並行して食事・運動の習慣を見直していくことが、中止後の体重維持の助けになります。中止のタイミング・方法はかかりつけの医師とご相談ください。
Q6. 注射が怖いのですが、痛みはありますか?
A. ゼップバウンドのペン型注射器は針が細く短く、ボタン操作で薬液が注入される設計のため、自己注射が初めての方でも比較的取り組みやすい剤型です。初回はオンラインまたは院内で看護師が手技をご説明し、ご希望に応じて院内での投与もサポートいたします。
