ゼップバウンドとマンジャロの違いは?肥満治療の最前線|M&B美容皮フ科クリニック|東大阪市の美容皮膚科

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ゼップバウンドとマンジャロの違いは?肥満治療の最前線

ゼップバウンドは、肥満症治療に新たな可能性をもたらす薬剤として注目されています。本記事では、ゼップバウンドの基本情報、効果、投与方法、副作用について詳しく解説します。


1. ゼップバウンドとは?

ゼップバウンドは、アメリカの製薬会社イーライリリーが開発した新しい肥満治療薬です。この薬は、食欲を自然に抑えるだけでなく、体内のエネルギー代謝を高めることで体重減少を促進する作用があります。その特徴は、単なる「ダイエット薬」とは一線を画す科学的根拠に基づいた仕組みにあります。

ゼップバウンドは2023年にアメリカで肥満治療薬として承認され、瞬く間に注目を浴びました。その理由は、長年の肥満治療の課題を解決するポテンシャルを持っているからです。また、日本では肥満治療薬としては約30年ぶりの新薬として期待されており、医療現場や患者さんから大きな関心が寄せられています。

従来の肥満治療薬は、副作用のリスクが高かったり、効果が限定的だったりするケースもありました。しかし、ゼップバウンドはそのような従来の治療薬に比べ、より高い安全性と効果を兼ね備えています。そのため、肥満治療に新たな可能性を提供する薬として位置づけられています。

1-1. ゼップバウンドとマンジャロは全く同じ成分

ゼップバウンドの成分は、2型糖尿病治療薬として知られる「マンジャロ」と全く同じです。この成分は「チルゼパチド」と呼ばれ、2つの異なる受容体に作用する特殊な薬です。


ただし、ゼップバウンドとマンジャロの違いは、適応症と目的です。マンジャロは2型糖尿病の治療を目的としていますが、ゼップバウンドは肥満症の治療に特化しています。そのため、ゼップバウンドは肥満患者が持つ特有のニーズに応える形で処方されます。


この成分が注目される理由は、そのユニークな働き方にあります。単に血糖値を下げるだけでなく、食欲を調整する機能を備えており、肥満治療薬としての可能性が広がっています。


1-2. GLP-1作用だけでなく、GIP作用も発揮

ゼップバウンドの成分であるチルゼパチドは、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体とGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体の両方に作用するのが大きな特徴です。この2つの作用が組み合わさることで、従来のGLP-1受容体作動薬を超える体重減少効果を実現しています。


GLP-1作用は、満腹感を高めることで食べ過ぎを防ぐ効果があります。一方、GIP作用は脂肪燃焼を促進し、エネルギー消費を増やす働きがあります。この2つの作用を組み合わせることで、単独のGLP-1作動薬では得られない相乗効果が得られるのです。


例えば、GLP-1作用により「お腹が空きにくい」と感じるようになる一方、GIP作用で体が脂肪を効率よく燃焼します。その結果、患者さんは無理な食事制限をせずに健康的な体重減少を実感できるのです。


こうした多面的な作用が、従来の治療薬に満足できなかった方や効果を実感しづらかった方にとって新たな治療選択肢となるでしょう。







2. ゼップバウンドの体重減少効果はどれほどなのか?

ゼップバウンドは、肥満治療薬としてその効果が複数の臨床試験でしっかりと確認されています。その中でも特に注目されるのが「SURMOUNT-1試験」と「SURMOUNT-2試験」の結果です。これらの試験から、ゼップバウンドがどれだけの体重減少をもたらすのか、具体的なデータが示されています。

2-1. SURMOUNT-1試験

SURMOUNT-1試験は、肥満または過体重の患者にゼップバウンドを投与した際の体重減少効果を評価する試験です。この試験には、約2500人の被験者が参加し、72週間という長期にわたる観察が行われました。


結果として、ゼップバウンドを使用した患者は平均して「体重の21.1%の減少」を達成しました。これは、肥満治療薬の中でも非常に高い効果です。一方で、プラセボ(偽薬)を投与されたグループでは平均して「体重の3.2%増加」しており、ゼップバウンドの効果が際立っています。


具体的には、体重100kgの患者の場合、約21kgの減量が期待できる計算です。これにより、多くの患者が健康面や生活の質の改善を実感しています。例えば、日常生活で動きやすくなったり、肥満に関連する疾患リスクが低下したりするなどの効果が報告されています。


2-2. SURMOUNT-2試験

SURMOUNT-2試験では、特に糖尿病を併発している肥満患者を対象に、ゼップバウンドの体重減少効果が検証されました。この試験でも非常に高い成果が示されています。


試験結果によると、ゼップバウンドを投与された患者の「体重減少率は平均15.6%」でした。糖尿病患者では体重を落とすことが難しい場合が多いため、この結果は大きな注目を集めました。また、この試験では血糖値の改善や心血管リスクの低下といった副次的な効果も確認されています。







3. ゼップバウンドの投与方法

ゼップバウンドの特徴の一つは、「簡単な投与方法」です。

週に1回の皮下注射で使用し、頻繁に薬を服用する必要がないため忙しい方や薬の飲み忘れが心配な方にも適した治療法と言えます。ただし、適切な効果を得るためには、医師の指示をしっかり守ることが大切です。


3-1. 週1回皮下注射を行う

ゼップバウンドは、週に1回、同じ曜日に皮下注射を行います。この定期的なスケジュールにより血中濃度を安定させ、持続的な効果を発揮することが可能です。


注射は太もも、腹部、または腕の皮下に行います。特別な器具や技術を必要とせず、患者自身が行うこともできます。ただし、初めての際は医師または看護師の指導を受けることが推奨されています。


例えば、月曜日に注射を開始した場合は、翌週の同じ時間帯に再度注射を行います。このようにルーティン化することで、投与を忘れるリスクも軽減できます。


3-2. 投与方法と投与量について

ゼップバウンドの投与は、少量から開始して体を慣らしていく段階的な方法が取られます。初めは2.5mgを4週間投与し、その後必要に応じて用量を増やしていきます。最終的には、5mg、10mg、または15mgの維持量を使用します。


この段階的なアプローチには、体が薬に適応する時間を確保し、副作用のリスクを抑える目的があります。また、医師は患者の体重や治療反応を見ながら最適な用量を調整するため、個別対応が可能です。


例えば、5mgで効果が不十分と判断された場合、10mgや15mgに増量することがあります。一方、初期段階で副作用が強く出た場合は、用量を据え置いたり減らしたりすることもあります。この柔軟な対応がゼップバウンドの利点の一つです。


3-3. 投与に際した注意点

ゼップバウンドの投与にはいくつかの注意点があります。まず、投与曜日を変更する必要がある場合は、前回の注射から最低72時間以上の間隔を空けることが推奨されており、薬の効果を安定させるために重要です。


また、もし投与を忘れた場合は、思い出したタイミングが次回の投与予定日から72時間以内であれば、すぐに注射を行って問題ありません。しかし、それを超えている場合は、次の予定日に通常通り投与を再開するようにします。無理にスケジュールを詰めようとすると、薬の過剰投与のリスクがあるため避けましょう。


さらに、注射部位を毎回変えることで、皮膚への負担を軽減できます。同じ場所ばかりに注射をすると皮膚が硬くなったり、炎症を起こしたりする可能性があるため、腹部→太もも→腕といったローテーションがおすすめです。








4. ゼップバウンドの副作用

どんな薬にも効果がある一方で、副作用が存在します。ゼップバウンドも例外ではありません。

ゼップバウンドは体重減少に大きな効果が期待できる一方で、いくつかの副作用が報告されています。これらの副作用について正しく理解し、リスクを回避するために適切な対策を講じることが大切です。


一般的な副作用

ゼップバウンドで最も多く報告されている副作用は、吐き気、嘔吐、便秘、下痢などの消化器系の症状です。これらの症状は薬を使い始めた初期段階で特に起こりやすいですが、時間の経過とともに体が慣れることで軽減する傾向があります。


例えば、吐き気が続く場合でも、多くの患者さんは2〜3週間で症状が和らぐと報告しています。また、これらの症状が強く出た場合、医師が投与量を一時的に減らして調整することがあります。こうした対応を取ることで、患者さんは快適に治療を続けることができます。


重篤な副作用のリスク

一方で、ゼップバウンドにはより重篤な副作用のリスクもあります。例えば、膵炎のリスクが挙げられます。これは稀なケースではありますが、上腹部の激しい痛みや吐き気を感じた場合は、すぐに医師に相談する必要があります。


また、過去の動物実験では甲状腺髄様癌や多発性内分泌腫瘍(MEN)2型のリスクが示唆されています。このリスクは人間においてはまだ十分に解明されていませんが、これらの疾患の既往歴がある方や家族歴がある患者さんにはゼップバウンドの使用が禁じられています。


さらに、急激な体重減少が内臓やホルモンバランスに影響を及ぼす可能性も指摘されています。そのため、ゼップバウンドを使用する際は定期的な健康チェックが欠かせません。


副作用を軽減するための対策

ゼップバウンドを安全に使用するためには、いくつかの対策を講じることが重要です。


医師との密な連携

副作用が現れた場合や気になる症状がある場合は、必ず医師に相談してください。早期の対応が症状を悪化させないための鍵です。


食事と生活習慣の見直し

消化器系の副作用を軽減するために、脂肪分の少ない食事や消化に良い食品を選ぶことが効果的です。また、食事量を一度に大量に摂らないようにすることも大切です。


健康モニタリング

定期的に血液検査や甲状腺の状態をチェックすることで、重篤な副作用を早期に発見することができます。


無理な減量を避ける

短期間で大幅な体重減少を目指すのではなく、医師の指導に従いながら徐々に体重を減らすことが、体への負担を軽減するポイントです。


ゼップバウンドは、高い効果を期待できる反面、しっかりとしたリスク管理が求められる薬です。患者さん自身が副作用についての知識を持ち、医師や医療スタッフと連携を取ることで、安全かつ効果的な治療を進めることができます。








5. まとめ

ゼップバウンドは、肥満症治療において新たな可能性を切り開く薬剤です。その高い体重減少効果は、臨床試験において明確に証明されており、多くの患者様にとって希望の選択肢となっています。一方で、消化器系の副作用や特定の疾患リスクも報告されています。そのため、安全に効果を得るには、医師の指導のもとで正しい使い方をすることが欠かせません。


ゼップバウンドは単なる薬ではなく、健康的な生活習慣と組み合わせることでその効果を最大限に引き出す治療法です。バランスの良い食事や適度な運動を取り入れることで、より健康的で持続可能な体重管理が可能になります。


マンジャロの処方も実施しています

当院では、ゼップバウンドと同じ成分であるマンジャロの処方も行っています。マンジャロは2型糖尿病治療薬としても用いられ、その成分が持つ強力な体重減少効果は広く知られています。当院では、マンジャロを活用した治療を通じて、患者様一人ひとりのニーズに合わせた最適な治療プランをご提供しています。


「どの治療法が自分に合うのかわからない」「ダイエットを始めたいけど、不安がある」という方も、ぜひ一度ご相談ください。医師が患者様の状態を丁寧に診断し、わかりやすい説明とともに治療をサポートします。


まずはお気軽にご相談ください

当院では、マンジャロをはじめとするダイエット治療を幅広くご提供しています。治療を通じて得られるのは、単なる体重減少だけではなく、健康的な生活と自信を取り戻すチャンスです。今までのダイエットが思うようにいかなかった方や、肥満に伴う健康リスクを減らしたいとお考えの方にこそ、適した治療法をご提案します。


ぜひ、当院で新しい一歩を踏み出してみませんか?お問い合わせやご予約は随時受け付けております。あなたの健康と未来をサポートするため私たちが全力でお手伝いします。




この記事を監修したドクター

岩田 亮一

Ryoichi Iwata,MD,PhD

資格・所属学会

  • 医学博士
  • 日本脳神経血管内治療学会 専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構 認定医
  • 日本認知症学会
  • 日本脳神経外科学会 専門医・指導医
  • 日本脳卒中学会 専門医・指導医
  • 日本頭痛学会 認定医・指導医
  • 日本抗加齢医学会

略歴

平成18年 4月
関西医科大学附属滝井病院 研修医
平成20年 4月
岸和田市民病院脳神経外科 医員
平成22年 4月
関西医科大学附属病院脳神経外科 病院助教
平成28年 4月
関西医科大学附属病院脳神経外科 助教
令和元年 9月
関西医科大学附属病院脳神経外科 講師
令和 2年 4月
関西医科大学附属病院脳神経外科 非常勤講師
令和 2年12月
いわた脳神経外科クリニック

授賞歴

平成27年 5月
第13回 櫻根啓子賞受賞
令和 2年 4月
第28回 佐々木千枝子賞
令和 2年
第26回 日本脳神経外科学会奨励賞受賞
この記事を監修したドクター

岩田 亮一

Ryoichi Iwata,MD,PhD

資格・所属学会

  • 医学博士
  • 日本脳神経血管内治療学会 専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構 認定医
  • 日本認知症学会
  • 日本脳神経外科学会 専門医・指導医
  • 日本脳卒中学会 専門医・指導医
  • 日本頭痛学会 認定医・指導医
  • 日本抗加齢医学会

略歴

平成18年 4月
関西医科大学附属滝井病院 研修医
平成20年 4月
岸和田市民病院脳神経外科 医員
平成22年 4月
関西医科大学附属病院脳神経外科 病院助教
平成28年 4月
関西医科大学附属病院脳神経外科 助教
令和元年 9月
関西医科大学附属病院脳神経外科 講師
令和 2年 4月
関西医科大学附属病院脳神経外科 非常勤講師
令和 2年12月
いわた脳神経外科クリニック

授賞歴

平成27年 5月
第13回 櫻根啓子賞受賞
令和 2年 4月
第28回 佐々木千枝子賞
令和 2年
第26回 日本脳神経外科学会奨励賞受賞