エラボトックスは、フェイスラインをすっきり見せる施術として人気がありますが、施術後に「たるみ」が気になるという声も少なくありません。エラ部分の筋肉に働きかけるため、小顔効果が期待できる一方で、皮膚や他の筋肉とのバランスが変化することで思わぬ影響が出ることもあります。

本記事では、エラボトックスでたるみが生じる理由とその対処法、さらにおでこのたるみとの関連性や日常的に取り組めるセルフケアのポイントまで解説します。

エラボトックスによるたるみの基礎知識

エラボトックスとは、咬筋と呼ばれるエラ部分の筋肉にボツリヌス毒素を注射し、筋肉の動きを部分的に緩和することでフェイスラインを整える施術です。筋肉の活動が弱まることで、エラ張りを目立たなくし、小顔効果が期待できます。

しかし筋肉のダメージや皮膚の弾力低下、不安定な筋肉バランスによって、かえってたるみを生じることも考えられます。ここではエラボトックスの基礎を踏まえ、施術によるメリットやデメリットを理解していきましょう。

そもそもエラボトックスとは

エラボトックスは、咬筋の過剰な発達が原因で顎まわりの輪郭が広がってしまう場合に有効な美容治療です。筋肉をリラックスさせることで、エラの張りが気になる方の輪郭を和らげてくれます。

このとき、エラボトックス後のたるみは慎重に見極める必要があり、術後の経過観察で肌やフェイスラインの変化を把握することが大切です。特に初めての施術では、経過を丁寧に追うことでリスクを軽減できます。

エラボトックスと皮膚の弾力の関係

エラボトックスによって咬筋が緩和されると、その上の皮膚を支える力が弱まる可能性があります。年齢を重ねて皮膚のコラーゲンやエラスチン量が減少している方の場合、皮膚の弾力が低いことでたるみが顕在化しやすくなります。

とくに、コラーゲンの減少が進んでいる人は施術前に保湿ケアを徹底するなど、術後のたるみリスクを軽減するための下準備が必要になります。

咬筋の過剰発達とたるみへの影響

咬筋は普段の食事や歯ぎしり、ストレスによる食いしばりなどで鍛えられやすい筋肉です。過度に発達した咬筋は輪郭を角ばらせる原因となるため、エラボトックスの効果を実感しやすい部位でもあります。

ただし、咬筋が弱まった後の皮膚の余りはたるみに直結しやすいため、過剰発達していた筋肉が急激に力を失うと皮膚に余裕が生じ、たるみが目立つケースがある点にも留意が必要です。

紫外線がもたらすエラ周りのたるみ

紫外線は真皮層にまでダメージを与え、コラーゲンやエラスチンを破壊し、肌の弾力を損なわせる大きな要因です。エラ周辺も例外ではなく、紫外線の影響を長年蓄積することでハリが低下し、たるみに拍車をかけます。

また、日常的な紫外線対策を怠ると施術後の肌状態も安定しにくいため、エラボトックスを行う前後は日焼け止めや帽子などでしっかりとガードしましょう。

エラボトックスによるたるみが生じる主な原因

エラボトックスは咬筋を弱めてエラ張りを改善してくれますが、筋力の低下だけが要因ではなく、さまざまな理由でたるみが発生する可能性があります。ここでは深層にある原因を詳しく見ていきます。

原因を理解すれば、予防・改善策の選択肢が増え、自分に合うケアや治療を見つけることができます。

筋肉の衰えによるフェイスラインの崩れ

エラボトックスで咬筋が弱まると、顔全体の筋肉バランスが変化します。表情筋の衰えが進むと皮膚を支えきれず、フェイスラインが崩れる可能性があります。

このとき、積極的に表情筋を鍛えるエクササイズを取り入れることで、筋肉バランスの急激な変化に伴うたるみを最小限に抑えることが可能です。

乾燥と表情ジワの深刻化

十分な保湿が行われていない肌は、角質層が荒れやすく弾力を失いやすい状態です。エラボトックス後に頬やフェイスラインが弱まった結果、乾燥による小じわや深いシワが目立ちやすくなります。

特に、潤いを保つことがたるみ対策の第一歩です。施術後は保湿成分配合の化粧品やフェイスマスクを使い、徹底したスキンケアを心がけましょう。

頭皮のたるみが引き起こすエラ周辺への影響

頭皮と顔の皮膚は一枚でつながっているため、頭皮がたるむと重力の影響が波及し、より下部のエラ周辺にも負担がかかります。エラボトックスで筋肉のサポートが減った際に、頭皮の衰えが顕著だと下顔面のたるみがさらに加速する可能性があります。

この状況で、頭皮マッサージや頭皮ケアで血行を促進すると、頭皮の健康を維持でき、間接的にエラ周りのたるみ予防にもつながります。

まぶたや前頭筋との関係

顔の筋肉は多くのパーツが連動して働いています。おでこの前頭筋やまぶたの筋肉が弱ると、表情を作るときに他の筋肉を代用しようとするため、余計な部位のたるみにつながる場合があります。

特に、眼瞼挙筋の衰えはおでこやエラの皮膚に悪影響を及ぼすこともあるため、まぶたのケアも含めた総合的なアプローチが大切です。

エラボトックスとおでこのたるみの関連性

エラボトックスの主な施術部位は下顎周辺ですが、実はおでこのたるみにも影響が及ぶ場合があります。これはボトックスによる筋肉バランスの変化と、顔全体の皮膚が連動しているためです。

おでこは紫外線や乾燥の影響を受けやすい場所ですので、対策を怠るとエラボトックス後により強調される可能性があります。ここではおでこ周りのたるみとの関連性を詳しく見ていきましょう。

なぜおでこにも影響が出るのか

筋肉の緊張は特定の部位にとどまらず、顔全体へ波及します。エラボトックスで咬筋を緩めると、噛む力が低下し、場合によっては他の表情筋の使い方が変わることがあります。

その結果、おでこの筋肉への負担が増え、たるみやシワが生じるリスクが高まる可能性があり、フェイスラインだけでなく、おでこ周辺にも留意が必要です。

おでこの皮膚と咬筋のつながり

おでこは直接的には咬筋と離れた位置にありますが、皮膚や筋膜は側頭筋や頭頂部を経由して連動しています。そのためエラ周辺の皮膚が変化すると、おでこにも微細な影響が出ることは否定できません。

具体的には、頭皮を含めて顔全体の皮膚を一体のものと考えることで、おでこのシワやたるみへの対処を含めた総合ケアの重要性が見えてきます。

エラボトックスとおでこのシワの増加

ボトックスは筋肉の動きを抑制することでシワやたるみを軽減しますが、注入箇所によっては他の筋肉が代償的に働くことがあります。エラボトックス後に咬筋の可動域が狭まると、表情を作る際に前頭筋が過活動を起こし、おでこのシワが増えるケースも存在します。

こうした場合、おでことエラの両方のボトックス注射をバランスよく行うことで、筋肉の働きを均一に保ち、シワやたるみを部分的に偏らせない工夫が大切です。

老けた印象を最小限に抑えるケア

おでこのたるみが進行すると、眉間や目尻など他のシワと交差し、より老けて見える原因となります。エラボトックスで顎周りが整っても、上部のたるみが際立つと全体的なアンバランスを招きます。

そこで、日頃の保湿や紫外線対策を徹底しつつ表情筋全体を鍛える習慣を取り入れれば、老けた印象を最小限に抑えられるでしょう。

エラボトックスによるたるみを防ぐセルフケア

エラボトックスの施術効果を高め、たるみのリスクを軽減するためには、日頃からのケアが欠かせません。特に頭皮や肌へのケア、ライフスタイルの見直しはエラ周辺だけでなく顔全体のたるみにも大きく影響します。

ここでは簡単に取り組めるセルフケアの具体例を紹介します。自宅で継続的に行える習慣を身につけることで、美しいフェイスラインを長く保つことができます。

頭皮マッサージの重要性

頭皮は顔と一続きの皮膚であり、頭皮のたるみが下方へと影響を及ぼします。エラボトックスで咬筋を弱めた状態のまま頭皮が硬くなっていると、たるみが進行しやすくなるのです。

そのため、頭皮マッサージで血行を促し頭皮の柔軟性を保つことが重要です。入浴後やリラックスしたいときに指の腹で優しくマッサージするだけでも効果が期待できます。

保湿と紫外線対策

肌は乾燥すると弾力を失い、小じわやたるみが生じやすくなります。さらに紫外線はコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力成分を破壊するので、日常的な紫外線対策が欠かせません。

特に、保湿ケアとUVケアを同時に行うことで、エラ周辺はもちろんおでこを含めた顔全体のたるみを予防しやすくなります。日焼け止めクリームや保湿化粧水を適切に使い、朝晩のケアを徹底しましょう。

表情筋と眼瞼挙筋のトレーニング

咬筋だけでなく、表情全体を司る筋肉を鍛えることは、エラボトックス後のたるみ予防に有効です。特にまぶたを上げる眼瞼挙筋はおでこの筋肉を代用しがちなので、正しく使い鍛えることで余計なシワや下垂を防止できます。

さらに、目元の筋肉をしっかり鍛えることで顔全体のたるみ対策に繋げることができます。顔のエクササイズや発声練習などを日課にすると、筋肉バランスが整いやすくなるでしょう。

生活習慣の見直し

睡眠不足や偏った食生活、喫煙や過度な飲酒などは肌の代謝を低下させ、たるみの原因になります。エラボトックスの効果があっても、これらの悪習慣を放置していると、肌や筋肉が健康的な状態を維持できません。

ですから、規則正しい生活習慣を続けるための自己管理は大変重要です。質の良い睡眠や栄養バランスのとれた食事は、肌や筋肉の回復をサポートし、施術効果を持続させる鍵となります。

エラボトックスによるたるみの治療法

エラボトックスで生じたたるみがセルフケアだけでは改善しない場合、あるいはより積極的に解消したい場合は、医療的な治療法を検討するのも一つの方法です。ここでは代表的な治療法をご紹介します。

自分の肌状態やたるみの程度、そして希望する仕上がりに合った施術を選ぶためには医師との相談が欠かせません。それぞれの特徴を理解して、より効果的な方法を検討しましょう。

ボトックス注射の打ち直し

エラボトックスの効果は永続的ではなく、数カ月ほど経つと少しずつ筋肉の動きが戻ってきます。必要に応じて定期的な打ち直しを行うことで、継続的にエラの張りを抑えることが可能です。

ただし、打ち直しの時期を慎重に見極めることでたるみを悪化させない工夫も必要です。間隔が短すぎると顔の筋肉全体に影響が及び、バランスを崩す恐れがあります。

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸は真皮層に存在する潤い成分で、肌に注入することでボリュームを与え、たるみやシワを改善する手段として広く利用されています。エラボトックス後に生じた部分的なたるみを補うために、注入治療が行われることもあります。

また、顔全体のバランスを整えつつ自然なリフトアップを目指せる点が魅力です。ただし、一度に大量に注入すると不自然な仕上がりになる可能性があるため、医師と十分にカウンセリングしましょう。

医療HIFUや糸リフト

医療HIFU（High Intensity Focused Ultrasound）は、皮膚の深部に超音波を集中照射してコラーゲン生成を促し、肌を引き締める施術です。エラ周辺に出現した軽度のたるみを改善するのに効果的です。

糸リフトはメスを使わずに皮下組織に糸を入れて引き上げる方法で、局所的なたるみを短期間でリフトアップすることが可能です。いずれも医療機関での施術になりますので、カウンセリングを受けて適切な方法を検討してください。

専門クリニックでの相談が重要

エラボトックス後のたるみを改善したい場合は、まず専門の美容クリニックでカウンセリングを受けることをおすすめします。自分の骨格や筋肉の状態を客観的に診断し、最適な治療法や併用施術を提案してもらえます。

さらに、定期的に経過を見ながら施術プランを修正することで、自然な仕上がりと長期的な満足度を両立できるでしょう。

まとめ

エラボトックスでたるみが生じる背景には、皮膚の弾力低下や筋肉バランスの変化、紫外線や乾燥など多面的な要因が影響しています。施術後のケアや生活習慣の見直しを怠ると、せっかくの小顔効果を活かせないばかりか、思わぬ老け見えにもつながりかねません。

さまざまなセルフケアや医療的治療法を組み合わせて、自分に合う方法でたるみを予防・改善することが大切です。

エラボトックスを検討している方、または既に施術を受けている方は、ぜひこの記事を参考に日々のケアや生活習慣を見直し、たるみを最小限に抑える行動を始めてみましょう。