ガムテープで毛をむしる、除毛クリームで表面を溶かす――こうしたセルフ処理は角層を傷め、かゆみや色素沈着を招きがちです。しかも、再び生えてくる“一時しのぎ”。だからこそ 医師や看護師など医療従事者の有資格者 が行う脱毛器や針脱毛が選ばれています。本稿では、レーザーと針脱毛を組み合わせて、全身すべすべ「恋の夏」を勝ち取る方法を整理します。

 

１ 脱毛器や脱毛方法

１-１ レーザー脱毛（蓄熱式）

毎秒数発の低出力レーザーが毛の司令塔「バルジ領域」を 45–60 ℃に温め、発毛信号を止めます。色素への依存が小さいため 乳輪まわりのように色素が濃い部位や色黒な肌にも照射しやすい のが長所。また、顔にも使用できます。

 

１-２ レーザー脱毛（破壊式）

アレキサンドライト（755 nm）やダイオード（800～940 nm）が毛乳頭や毛母細胞を焼灼します。硬いワキ毛や脚毛に即効性を発揮しますが、強いエネルギーゆえ痛みと火傷リスクが上昇。施術は 有資格者である医療従事者が行うよう厚労省通知で求められています。

 

１-３ 針脱毛（絶縁針）

毛穴に極細針を入れ、針先へ電気（または高周波） を0.1秒流して毛包を完全破壊します。白髪や産毛、レーザーが届きにくい眉下など眼球近くでもピンポイントで処理でき、処置直後に毛がスッと抜け落ちるのが特徴です。

 

２ 脱毛可能な部位

２-１ レーザー脱毛（蓄熱式）

蓄熱式レーザーは、顔・ひじ下・背中から 乳輪など色素が濃いエリア までメラニン量をそれほど気にせず全身照射できます。まぶた直下の産毛も、金属アイシールドで角膜を完全に保護しつつ斜め方向から当てれば安全です。

照射後は 約7〜14 日 で毛がポロポロ抜け落ち、その後は毛周期に合わせて 4〜6 週おきに5〜8回 通うのが一般的なコース。「海やプールで思いきり肌を出したい」8月までにすべすべを目指すなら、6〜7月にスタート しておくと、自己処理がほぼ不要なレベルになります。

また顔のアゴ〜フェイスラインでは まれ（0.6〜2 ％）に“硬毛化” が起こります。産毛が太く変化したら、医療従事者が早めに針脱毛へ切り替えると再生を抑えられます。

 

２-２ レーザー脱毛（破壊式）

ワキ・脚・ヒゲなど太い毛に最適。ただし濃いVIOやシミが多い部位では火傷リスクが上がるため、脱毛器の波長や出力を医師が細かく調整します。施術後10日前後で“スルッ”と抜けるのが目安です。

 

２-３ 針脱毛

毛色・肌色を問わず全身で使用可。電気エネルギーを針先だけに流す構造上、乳輪、眉下（眼球付近）、レーザーで硬毛化した顔の剛毛 など「レーザーの死角」を１本単位で確実に処理します。白髪やうぶ毛も対応可能。施術直後に毛を引き抜くため、仕上がりをその場で確認できます。

 

 

３ 医療脱毛の併用

3-1　蓄熱式レーザーで全体の毛量を減らす

はじめに広い面積を蓄熱式レーザーで処理すると、1回あたりの施術時間が短く痛みも軽めです。

ただし “硬毛化”（※レーザー照射後にかえって毛が太く長くなる現象） が 0.6〜2 ％ 前後に起こるとする報告があります。発生頻度自体は「まれ」とされています。顔・うなじの産毛や中間出力を繰り返したケース、PCOSなどホルモン異常がある場合に高率だった、という解析結果も論文で示唆されています。

医療従事者（医師または看護師）の資格を持つ施術者 が経過を確認し、硬毛化のサイン（成長期なのに抜け落ちない・毛径が太くなる）を早期に見逃さないことが重要です。

3-2　針脱毛で硬毛化毛や顔のデザインを仕上げる

もし顔まわりで硬毛化が起きても、電気を針先のみに流す絶縁針脱毛 なら 1 本ずつ確実に毛包を破壊できます。レーザーでは抜けにくい産毛や白髪、眉のライン取りにも有効で、処理直後に毛を抜き取れるため仕上がりをその場で確認可能です。

ここでも 医療従事者の管理下 で局所麻酔クリームや冷却を併用すると、痛みを最小限に抑えられます。

 

3-3　硬毛化を防ぐための３つのセルフ＆クリニック対策

紫外線対策を徹底
照射部位の日焼けは表皮メラニンを増やし、エネルギーを散乱させて中途半端な熱刺激を生み、硬毛化の誘因になると考えられています。SPF30 以上の日焼け止めと帽子でUV を遮断しましょう。

 

最適な出力設定
弱すぎる出力を繰り返すとバルジが完全破壊されず硬毛化しやすいとの報告があります。資格不要のサロンではなく、医療従事者の資格を持ったクリニックにて、適切な治療をおすすめします。

 

ガムテープなどのセルフ脱毛を避ける
肌への負担が大きく、処理できず残る毛も多いので、おすすめできません。肌荒れの原因にもなるので、避けた方が無難です。

 

よくある質問

Q レーザーを当てたのにすぐ毛が抜けません。失敗ですか？

いいえ、正常な経過です。レーザーで熱変性した毛は、1〜2 週間かけて皮膚表面に押し出され自然に抜け落ちます。

 

Q 家庭用光美容器とクリニックの違いは何ですか？

脱毛器の出力が桁違いに高い点と、医師や看護師といった医療従事者の資格を持つスタッフ が冷却・麻酔・アフターケアを管理する点です。強いエネルギーを安全に扱えるのは医療機関だけです。

 

Q 硬毛化したらどう対応すれば良いですか？

照射設定を医師が見直し、必要なら針脱毛に切り替えます。針脱毛は電気を針先だけに流して毛包を完全破壊できるので、硬毛化毛でも1本ずつ確実に処理できます。

 

Q 紫外線は硬毛化と関係ありますか？

あります。日焼けでメラニンが増えるとレーザーエネルギーが分散し、中途半端な熱刺激が硬毛化の引き金になる場合があります。照射前後はSPF30以上の日焼け止めと帽子でUVを徹底的にブロックしましょう。

 

Q 針脱毛は痛いと聞きます。麻酔は使えますか？

局所麻酔クリームで、痛みはかなり抑えられます。施術は医療従事者が常駐 するクリニックで受けると安心です。

 
大阪　布施で脱毛をお探しのあなたに、私たちM＆B美容皮フ科クリニックが丁寧な施術を提供します。

 

 

参考文献

Honeybrook A, Crossing T, Bernstein E, Bloom J, Woodward J. Long-term outcome of a patient with paradoxical hypertrichosis after laser epilation. J Cosmet Laser Ther. 2018;20(3):179-83 DOI: https://doi.org/10.1080/14764172.2017.1383614

 

Yoshikazu Inoue, Hiroshi Nishioka, Maki Inukai, Yusuke Shimizu, Masato Kimura, Hirotaka Akita, Takayuki Okumoto, What are the Factors That Induce Paradoxical Hypertrichosis After Laser Hair Removal?, Aesthetic Surgery Journal, Volume 44, Issue 5, May 2024, Pages NP347–NP353, https://doi.org/10.1093/asj/sjae018

 

厚生労働省（2001）医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて, https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6731&dataType=1&pageNo=1