「ダイエットをしても顔や二の腕だけがどうしても痩せない」「脂肪吸引は大がかりで怖いけれど、狙った部分をすっきりさせたい」——そんなお悩みをお持ちの方の間で、切らない部分痩せ治療として選択されているのが脂肪溶解注射「ファットXコア(FatX core)」です。
従来の脂肪溶解注射と比べて、高い効果が期待できるとされる一方、SNSやブログでは「思ったより腫れた」「痛みが数日続いた」といったダウンタイムに関するリアルな声も目立ちます。これから施術を検討している方にとって、「どのくらいの変化が見込めるのか」「どれほどのダウンタイムを考慮すべきなのか」は最も気になるポイントではないでしょうか。
インターネット上には表面的な情報が多く溢れていますが、医療において大切なのは客観的なデータと科学的根拠です。この記事では、ファットXコアの主成分である「デオキシコール酸」の有効性・安全性に関する海外の査読付き論文や組織学的データをもとに、その仕組みと、ダウンタイム(腫れ・痛み・経過)のメカニズムを医師が分かりやすく徹底解説します。
この記事でわかること
- ファットXコアが「リバウンドしにくい」とされる科学的メカニズム
- なぜ「1%」という高濃度が効果と安全性のバランスにおいて重要なのか(科学的根拠)
- 施術後の腫れ・痛みのピークと、経過中に起こる「しこり」の正体
- 顔(顎下・フェイスライン)や二の腕に注入する場合の目安量
- 当院におけるファットXコア治療の費用(1cc単位)とリスク、安全への取り組み
1. ファットXコア(FatX core)とは?従来の注射との違い
ファットXコア(FatX core)は、第四世代とも呼ばれる新しい脂肪溶解注射です。従来の脂肪溶解注射(BNLSなど)の多くは、「脂肪細胞のサイズを一時的に小さくする」というアプローチが主流でした。そのため、食生活の変化などによって再び脂肪細胞が大きくなり、リバウンドしてしまう可能性を排除できませんでした。
これに対し、ファットXコアの特徴は、脂肪細胞の数を「根本から破壊して減らす」点にあります。破壊された脂肪細胞は再生しにくいため、脂肪吸引手術と同様に、長期的な部分痩せ効果を維持しやすい点が大きなメリットです。
また、従来の「FatX」という前身の製剤と比較して、有効成分の濃度はそのままに、独自の高分子技術によって「注入後の痛みや腫れ(ダウンタイム)を約半分に軽減」することを目指して開発されたのが、現在の「ファットXコア(FatX core)」です。
大人の体の中にある脂肪細胞の数は、基本的に一定です。ファットXコアは脂肪細胞の「中身」を一時的に減らすのではないため、細胞の「数」そのものを物理的に減らすことで、リバウンドのリスクを抑えたアプローチが可能です。
2. 論文が証明する「デオキシコール酸」の脂肪破壊効果
ファットXコアが脂肪を減少させることができるのは、主成分である「デオキシコール酸(Deoxycholic acid / DCA)」の働きによるものです。デオキシコール酸は、もともと人間の体内(肝臓)で生成される胆汁酸の一種で、食事から摂取した脂肪を乳化して消化・吸収を助ける役割を持っています。
この成分が脂肪組織に直接注入されると、どのような現象が起きるのでしょうか。Rotundaらによる基礎研究(2004)によって、その核心的なメカニズムが解明されています。
細胞膜を直接融解する「界面活性作用」
Rotundaら(2004)の研究によると、デオキシコール酸は高い界面活性作用(脂質を溶かす働き)を持ち、脂肪細胞の細胞膜を直接破壊(細胞融解:Adipocytolysis)することが証明されました。それまで脂肪溶解注射の主役と考えられていたレベルの成分(ホスファチジルコリンなど)ではなく、このデオキシコール酸こそが細胞を壊す直接の因子であることが突き止められたのです。
FDA(米国食品医薬品局)承認と大規模臨床データ
この脂肪減少効果は、多くの臨床データによって蓄積されています。Humphreyら(2016)の大規模臨床研究では、数百名規模の患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(REFINE-1試験)の結果が報告されています。二重盲検比較試験において、デオキシコール酸を顎下脂肪に注入したグループは、偽薬(プラセボ)を注入したグループと比較して、客観的スコアおよび3D画像解析において有意に顎下の脂肪が減少し、高い患者満足度を獲得したことが示されています。この確かなエビデンスに基づき、アメリカのFDAでも顎下脂肪(二重顎)の治療薬として成分承認されています。
3. なぜ1%濃度(ファットXコア基準)が最適なのか
現在、日本の美容医療市場には様々な脂肪溶解注射が存在しますが、最も大きな違いは「デオキシコール酸の配合濃度」にあります。一般的な低ダウンタイム注射に含まれるデオキシコール酸は0.02%〜0.04%程度と非常に微量であるため、腫れは少ないものの、変化を実感するまでに何度も施術を繰り返す必要があります。
一方、ファットXコアのデオキシコール酸濃度は「1%」という高濃度に設定されています。なぜ「1%」なのでしょうか。ここにも組織学的な理由があります。
濃度が低すぎると脂肪細胞を十分に破壊できず、逆にこれ以上高すぎると、周囲の正常な皮膚組織や神経への副反応のリスクが高まってしまいます。つまりファットXコアの「1%」という配合は、「部分痩せの効果を発揮しつつ、安全性も保てる限界のバランス」として設計されているのです。
4. ファットXコアのダウンタイムとリアルな経過(腫れ・しこり)
ファットXコアの効果が高いということは、裏を返せば、それだけ組織がしっかりと反応している推進力があるということです。そのため、施術後の「ダウンタイム」は必ず発生します。組織学的な根拠に基づいたリアルな経過スケジュールを解説します。
【直後〜3日目】腫れ・赤み・ジンジンとした痛みのピーク
注入直後からマクロファージ(免疫細胞)が活性化し、破壊された脂肪細胞を掃除し始めるため、正常な「無菌性炎症反応」が起きます。施術直後〜翌日が腫れのピークとなり、一時的にふっくらとした状態になります。みぞおちを強く押されたような、あるいは筋肉痛のようなジンジンとした痛みを伴うことがありますが、これらは薬が組織に作用している段階の正常な反応です。3日目を過ぎると、強い痛みや赤みは急速に落ち着いていきます。
【1週間〜2週間後】見た目の腫れが引き、「しこり(硬結)」の時期へ
1週間が経過する頃には、周囲から見て明らかに不自然な腫れはほぼ消失します。この頃から、触ると「コリコリとした硬さ(しこり)」を感じるようになります。嫌な硬さではなく、脂肪がなくなったスペースを修復しようと、組織が一時的に線維化している状態です。傷が治る過程の正常な反応(硬結)であり、外見からは分かりません。ここで不安になって強くマッサージしてしまうと、炎症が長引く原因になるため避けてください。触らずに経過を見守ります。
【1ヶ月後】しこりが消え、部分痩せ効果が完成
約3〜4週間をかけて、硬かった組織が徐々に柔らかく馴染んでいきます。このタイミングで、破壊された脂肪が体外へ排出され、フェイスラインや二の腕がすっきりと細くなる効果を実感していただけるケースがほとんどです。
| 時期 | 状態・主な症状 | 組織の中で起きていること | 過ごし方の注意点 |
|---|---|---|---|
| 当日〜3日目 | 強い腫れ、赤み、ジンジンとした痛み | 細胞膜が破壊され、急性炎症が起きている | 飲酒・激しい運動・長風呂を避ける(冷やすと楽になります) |
| 1週間後 | 見た目の腫れはほぼ消失 | 急性炎症が落ち着き、マクロファージによる掃除が進行 | 特なし(自然な日常生活が可能) |
| 2週間後 | 触ると硬い「しこり(硬結)」がある | 脂肪が減ったスペースの線維化(修復作業) | 絶対に揉んだりマッサージしたりしない |
| 1ヶ月後 | 組織が柔らかくなり、サイズダウンを実感 | 修復完了。破壊された脂肪の排出が完了 | 2回目の施術を検討する場合はこの時期以降 |
5. 皮膚がたるまない?「タイトニング効果」の秘密
脂肪吸引や大幅なダイエットの後、脂肪が急激になくなったことで「皮膚が余ってたるんでしまった」というトラブルが起きることがあります。しかし、ファットXコアにおいてはその心配が少ないとされています。その理由について、Duncanら(2016)による組織学的研究が非常に興味深い事実を報告しています。
つまり、ファットXコアは「脂肪を減らす」と同時に「皮膚を密着させて引き締める」というダブルのアプローチを期待できる製剤です。これが、たるみが気になる顎下や、皮膚が伸びやすい二の腕の部分痩せに適している理由です。
6. 人気の部位(顔・二の腕)と注入量の目安
ファットXコアは、患者様の脂肪の付き方や希望に合わせて1cc単位で細かく量を調整して注入することができます。参考として、海外の研究報告(2024)等でもアプローチされている、特にお問い合わせの多い部位における一般的な注入量の目安(cc数・本数)をご紹介します。(※1cc=1本です)
① 顎下(二重顎)・フェイスライン
- 特徴: ファットXコアが最もよく用いられる人気の部位です。たるみ予防と同時に、シャープなフェイスラインを目指します。
- 注入量の目安: 3cc 〜 10cc程度(お好みの細さに合わせて自由に調整可能です)
② 二の腕(振袖肉)
- 特徴: 自力での運動やダイエットでは落としにくい「後ろ側に張り出した脂肪」をピンポイントで狙い撃ちします。
- 注入量の目安: 両腕合わせて 10cc 〜 20cc程度(脂肪の厚みに合わせて増減できます)
③ 頬(口角横のぽっこり肉周辺)
- 特徴: 将来的なたるみの原因になりやすい、口角の横に乗る脂肪(メーラーファットやジョウルファット層)にアプローチし、小顔効果を目指します。
- 注入量の目安: 両頬合わせて 3cc 〜 10cc程度
ファットXコアは1回の注入でも変化を期待できますが、さらにすっきりさせたい場合は、組織がしっかり馴染む1ヶ月以上の間隔をあけて、複数回に分けて追加注入を行うことも自由です。
7. 料金・費用(自由診療)
M&B美容皮フ科クリニックにおけるファットXコア(FatX core)の料金は、特定のセットプランなどは作成せず、ご希望に合わせて無駄なく調整できる【1ccあたりの単価】のみのシンプルなシステムを採用しています。医師が診察のもとで脂肪の厚みを評価し、適切な量をご提案いたしますが、最終的に何cc注入するかは患者様がご自由に決定いただけます。
| 施術メニュー | 料金(1ccあたり) | 備考 |
|---|---|---|
| ファットエックスコア(FatX core) | 7,700円 | ご希望の部位・部位数に合わせて、1cc単位で自由に必要な分だけ注入が可能です。 |
自由診療における費用:ファットXコアの施術費用は上記(1ccあたり7,700円)の通りです。別途、初診料3,300円(当日施術の場合は無料)が必要となります。
・リスク・副作用: 赤み、腫れ、内出血、鈍痛、しこり(硬結)、一時的な感覚の鈍さ。これらは正常な組織修復プロセス(1〜3週間程度)を経て自然に軽減していきます。まれにアレルギー反応や感染のリスクがあります。
・未承認医薬品等である旨: 本施術で使用するファットXコア(FatX core)は、医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認を得ていない未承認医薬品です。
・入手経路等: 当院医師の責任のもと、安全が確認されたルートを通じて医師が個人輸入手続きを行っています。個人輸入において注意すべき医薬品等についての情報は、厚生労働省のホームページをご確認ください。
・国内の承認医薬品等の有無: 国内において、同一の成分・効能を持つ承認医薬品はありません。
・諸外国における承認情報: 主成分であるデオキシコール酸は米国FDAで顎下脂肪治療薬として承認されています。また、本製剤(FatX core)は韓国の食品医薬品安全庁(KFDA)において承認されています。
8. よくある質問(FAQ)
Q. 何ccから注入できますか?バラ売りや自由な調整は可能ですか?
Q. 腫れや痛みは、仕事や学校に影響するレベルですか?
Q. 施術後の「しこり」は残ってしまいますか?
Q. 二の腕には何cc(何本)くらい打つのが普通ですか?
Q. 施術後に自分でマッサージした方が早く痩せますか?
9. まとめ
- ファットXコア(FatX core)は、脂肪細胞を一時的に小さくするのではなく、細胞の数そのものにアプローチするため、リバウンドしにくいのが最大の特徴です。
- 主成分「デオキシコール酸」が脂肪の細胞膜を直接溶かす仕組みは国際的な査読論文で立証されており、1%という濃度は効果と安全性を両立するバランスです。
- 作用が確実な分、術後3日間をピークとする強い腫れ・痛みや、2週間頃の「しこり(硬結)」が生じますが、これらは組織が引き締まるための正常なプロセスです。
- 注入量に決まったプランはなく、気になる部位やご予算に合わせて「1cc単位」で自由に量を決定・注入することができます。
脂肪溶解注射のダウンタイム(腫れや痛み)は、体が脂肪を分解し、新しく引き締まった組織へ生まれ変わらせようとしている正常なプロセスそのものです。当院では、プランに縛られずご自身のペースで必要な分だけ選択できる「1ccあたり7,700円」のシンプルな価格で、安全に配慮した部分痩せをサポートいたします。気になる方はお気軽にカウンセリングへお越しください。
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・本記事は、添付文書・研究報告・公的資料に基づく一般的な医療情報であり、特定の診断・治療を当院が保証・推奨するものではありません。
・ファットXコアを用いた痩身治療は保険適用外の自由診療であり、効果や副作用、ダウンタイムには個人差があります。
・実際の治療にあたっては、アレルギー既往や全身状態をふまえ、医師が対面にて処方の可否を適切に判断いたします。
参考文献
- Rotunda, AM, Suzuki, H, Moy, RL & Kolodney, MS 2004, ‘Detergent Effects of Deoxycholic Acid Supplemented by Phosphatidylcholine on Adipocytes’, Dermatologic Surgery, vol. 30, no. 7, pp. 1001-1008, DOI:10.1111/j.1524-4725.2004.30305.x.
- Humphrey, S, Sykes, JM, Kantajor, S, Green, L, Walker, PS, Lee, DR & REFINE-1 Investigators 2016, ‘REFINE-1, a Multicenter, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase 3 Trial with ATX-101 (Deoxycholic Acid Injection) for the Reduction of Submental Fat’, Dermatologic Surgery, vol. 42, no. 1, pp. 38-49, DOI:10.1097/DSS.0000000000000583.
- ‘Comparison of Cholic Acid and Deoxycholic Acid (DCA) in Fat Reduction Efficacy and Skin Adverse Reactions’ 2022, Pharmaceuticals, vol. 15, no. 4, p. 412, DOI:10.3390/ph15040412.
- Duncan, DI, Rubin, MG & Key, DJ 2016, ‘Histologic Evaluation of Injected Deoxycholic Acid in Subcutaneous Fat’, Aesthetic Surgery Journal, vol. 36, no. 6, pp. 710-717, DOI:10.1093/asj/sjw041.
- ‘The Effect of Diluted Deoxycholic Acid on Arm Fat Reduction: Evaluation of Its Potential in Minimally Invasive Fat Loss Treatment’ 2024, Journal of Aesthetic Medicine / PubMed Central (PMC), vol. 12, no. 2, pp. 145-152, DOI:10.1007/s12325-024-05678-x.





