リジュランHBとは|1mLに麻酔が入る製剤と4種の使い分け|M&B美容皮フ科クリニック|東大阪市の美容皮膚科

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リジュランHBとは|1mLに麻酔が入る製剤と4種の使い分け

美容皮膚科 論文解説

肌育注射を調べていると、「リジュラン」という名前のあとにアルファベットが付いた製剤がいくつも出てきます。HB、i、S。同じシリーズなのに何が違うのか、わかりにくいところだと思います。

なかでもリジュランHBは、ほかの3つと組成そのものが違います。ヒアルロン酸と局所麻酔成分が加わっているためです。ところが、そのことを説明したページを読み比べてみると、配合量が書かれているものがほとんどありません。

この記事では、リジュランHBが何を注入する製剤なのかを、韓国の規制当局が公開している技術文書とメーカー公式の記載まで戻って整理します。あわせて、痛みについて査読を経た論文でどこまでわかっているのかもお伝えします。

本記事は、リジュランHBという製剤について公開されている情報を整理したもので、一般的な医療情報です。診断・治療の代替ではありません。リジュランHBは日本国内で医薬品・医療機器としての承認を受けていない製剤です。効果の程度・発現時期・持続期間には個人差があり、効果を保証するものではありません。
当院でお受けいただける肌育注射の種類と費用は、肌育注射のページと料金一覧をご覧ください。

この記事でわかること

  • リジュランHBの正式な製品名と、公開文書で確認できる組成
  • リジュラン4種類の、成分と容量の違い
  • ポリヌクレオチドにヒアルロン酸を足すと何が変わるのか
  • 痛みについて、査読論文でわかっていること(5.へ)
  • 韓国で承認されている範囲と、承認されていないこと
  • 受けられない方、副作用と施術後の過ごし方

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1. リジュランHBとは

リジュランHBは、韓国のパマリサーチ社が製造する注入製剤です。サケ由来のポリヌクレオチド(PN)に、ヒアルロン酸と局所麻酔成分のリドカインを組み合わせたもので、1本1mLのシリンジに入っています。

まず、名前について1つお伝えしておきたいことがあります。メーカー公式サイトに掲載されている製品名は「リジュランHBプラス(REJURAN HB plus)」で、「リジュランHB」という名前の製品は公式には存在しません(パマリサーチ n.d.)。韓国の医療機器データベースを製品名で検索しても、該当するのは「リジュランHB plus」1件だけです(食品医薬品安全処 2021)。

つまり、クリニックのメニューや口コミで見かける「リジュランHB」は、リジュランHBプラスの略称です。この記事でも、以下は通りのよい「リジュランHB」と書きます。

公開文書で確認できる組成

韓国食品医薬品安全処(MFDS)は、承認した医療機器の技術文書の一部を公開しています。リジュランHBの品目許可番号は제허21-629호で、その公開文書に原材料が次のとおり記載されています(食品医薬品安全処 2021)。

リジュランHBの原材料(韓国MFDS公開文書より)
・ポリヌクレオチドナトリウム
・ヒアルロン酸ナトリウム
・リドカイン塩酸塩水和物(リドカイン塩酸塩として2.8mg/mL)
・D-マンニトール
・リン酸二水素ナトリウム二水和物、リン酸一水素ナトリウム十二水和物、水酸化ナトリウム、注射用水

リドカインの量が数字で確認できたのは、この公開文書でした。公式サイトの製品ページには濃度の記載がありません。2.8mg/mLは濃度に直すと0.28%にあたります。ポリヌクレオチドとヒアルロン酸の濃度は公開されていません。公式サイトにもMFDSの公開文書にも成分名までしか書かれておらず、含量試験の規格も「表示量の90〜110%」という書き方にとどまっています(食品医薬品安全処 2021)。

なお「ポリヌクレオチド1%」という数字を載せているページもあります。ただしメーカー公式サイトと韓国MFDSの公開文書を確認した範囲では、この数字の出どころにたどり着けませんでした。

保管の条件も違います

細かい話ですが、リジュランHBは冷蔵(2〜8℃)での保管が指定されています。リジュラン、リジュランi、リジュランSはいずれも室温(1〜30℃)保管です。遮光はどの製品にも共通して指定されています(パマリサーチ n.d.)。リドカインとヒアルロン酸が入ったことで、扱いも変わっているということです。

シリンジに付属する針は33ゲージ・長さ4mmと記載されています(食品医薬品安全処 2021)。なお公式の使用目的は「皮下に注入」と記載されており、どの深さに入れるかは部位と手技によって変わります。

2. 4種類の組成と容量

パマリサーチ公式サイトに掲載されているリジュランは、4種類です。どれが優れているという話ではなく、入っているものと量が違います。メーカー公式の製品ページ(パマリサーチ n.d.)と韓国MFDSの公開文書(食品医薬品安全処 2021)の記載を、そのまま並べます。

リジュラン4種類の組成と規格(メーカー公式および韓国MFDS公開文書より・2026年10月時点)
製品名原材料(有効成分)規格
リジュラン
(リジュランヒーラー)
ポリヌクレオチドナトリウム2mL × 2本
リジュラン iポリヌクレオチドナトリウム1mL × 1本
リジュラン Sポリヌクレオチドナトリウム1mL × 1本
リジュラン HB
(HBプラス)
ポリヌクレオチドナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、リドカイン塩酸塩 2.8mg/mL1mL × 1本

表にするとはっきりしますが、リジュラン・i・Sの3つは有効成分がポリヌクレオチドのみで、ヒアルロン酸もリドカインも入っていません。この3つは、メーカー公式の記載では原材料も使用目的も同じです(いずれも「成人の顔面のシワを一時的に改善するために使用する」と書かれています)。公式の記載で違うのは、容量と本数です。HBだけが、組成も使用目的も別になっています。

なお「リジュランヒーラー」という呼び名は、この「リジュラン」を指すものとして広く使われています。メーカー公式の製品名は「リジュラン」です。

なお「リジュランターンオーバー」という名前を目にすることがありますが、これはパマリサーチの化粧品のライン名です。韓国の医療機器データベースに同名の注入製剤は登録されていません(食品医薬品安全処 2021)。塗るものと注入するものは別のものとして考える必要があります。

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3. PNとPDRNの違い

リジュランの主成分はポリヌクレオチド(PN)です。サケの精子由来のDNAを断片化したもので、肌の中でコラーゲンなどをつくる線維芽細胞にはたらきかけると考えられています。

よく似た言葉で「PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)」があります。同じサケ由来のDNA断片で、この2つの言葉は論文の中でも入れ替わって使われてきました。そのため混乱が生じていると指摘されています(Marques et al. 2025)。

この混乱を整理するために、Marquesらは分子量で呼び分ける案を示しました。1500キロダルトンを境に、それより小さいものをPDRN、それ以上の長鎖のものをPNと呼ぶという提案です(Marques et al. 2025)。ただしこれは著者らの提案であり、国際的に確立した合意ではありません。簡潔な整理としては、PDRNが低分子量のDNA断片でアデノシンA2A受容体を介して抗炎症・組織修復にはたらき、PNは同じ原料の高分子量の誘導体で、粘度が高いぶん作用が長く続く——という説明があります(Ziade et al. 2026)。

PNがはたらく仕組みそのものについては、PDRNのサルベージ経路の記事で分子のレベルから解説しています。

ひとつ、注意していただきたいことがあります。国際的な専門家パネルの論文は、PNの作用について説明した図に「仮説的な(hypothetical)」「提唱されている(proposed)」という語を明記しています(Rho et al. 2026)。仕組みの説明としてよく流通している話は、まだ検証の途上にあるということです。

4. ヒアルロン酸が入る意味

では、ポリヌクレオチドにヒアルロン酸を足すと何が変わるのでしょうか。ここは、わかっていることとわかっていないことの線引きが大事なところです。

この節でご紹介する研究は、いずれもリジュランHBそのものを対象としたものではありません。ポリヌクレオチド単独、またはポリヌクレオチドとヒアルロン酸を混ぜた状態での報告です。リジュランHBとして実施された試験は、韓国の承認の根拠になった試験(6.でご紹介します)です。

PNとヒアルロン酸を比べた試験

まず、両者を比較した試験があります。27名を対象に、目の周囲の片側にポリヌクレオチド、反対側に非架橋のヒアルロン酸を2週間隔で3回注入し、二重盲検で比べた無作為化試験です(Lee et al. 2022)。

ポリヌクレオチドと非架橋ヒアルロン酸の目の周囲での左右比較(27名・二重盲検・無作為化)
・見た目の変化を本人と医師が評価したスコアは、両者で有意差なし
・肌の弾力と水分量の改善率は、時間とともに両群で低下したが、ポリヌクレオチド群のほうが改善率が高かった
・肌のざらつきと毛穴の体積の改善率は、ポリヌクレオチド群のほうが高かった
・真皮の密度の改善率は両者で有意差なし
・重篤な有害事象の報告なし
※27名・単施設・短期の試験です。抄録で確認できた範囲の記載です(Lee et al. 2022)。

ここで押さえておきたいのは、「どちらかが一方的に優れている」という結果ではなかったことです。項目によって差がつき、差がつかない項目もありました。性質の違う2つの成分を組み合わせる設計には、こうした背景があります。

混ぜた製剤のデータは乏しい

では、PNとヒアルロン酸を混ぜた状態での臨床データはどうか。ここが正直なところ、まだ非常に限られています。

顔の赤みに対してPNと非架橋ヒアルロン酸、そしてリドカインを混ぜて注入した報告があります。2週間隔で3回注入し、赤みの重症度スケールが2名とも8週間で改善したという内容です(Lee et al. 2024)。ただしこの報告は、著者自身が「臨床試験を始める前の概念実証としての、小規模な後ろ向き症例研究」と位置づけており、対象は2名です。論文も「対照を置いた臨床試験での検証が必要」と結んでいます。

PN単独ではどこまで示されたか

参考として、ポリヌクレオチド単独で実施された比較的規模の大きい研究を挙げます。目のまわりのシワに対して、42名に3週間隔で2回(シワが残る方には3回目も)注入し、6か月まで追跡した前向き観察研究です(Ziade et al. 2026)。ただしこの研究で使われたのはリジュランではなく、別のメーカーのポリヌクレオチド製剤(Pluryal Silk・PN 7.5mg/mL・30ゲージ針)です。ヒアルロン酸もリドカインも含まれていません。

目のまわりのシワに対するポリヌクレオチド注射(42名・6か月)
・評価はFACE-Q(患者ご自身が回答する0〜100点の質問票)の自己申告スコアで、医師によるシワの重症度判定ではありません
・下まぶた、目尻のシワの自己申告スコアは、すべての追跡時点で開始前より有意に改善(p<0.001)
・3か月時点が最も大きく、下まぶた9.52点、目尻のシワ10.57点の改善
・6か月時点でも改善は保たれたが、下まぶた7.55点、目尻7.43点へと減衰
・主な症状は軽度の腫れと違和感で、軽い内出血が数例
・しこり、長引く浮腫、感染などの遅発性・持続性の有害事象は観察されず
※使用製剤はリジュランではありません。対照群なし・盲検なしの観察研究で、評価は患者の自己申告です。追跡を完了したのは3か月40名・6か月38名。著者らは「仮説を生み出す段階の信号として解釈すべき」としています。単一施設・1人の施術者による結果です(Ziade et al. 2026)。

注目したいのは3か月をピークに6か月で減衰していく経過です。著者らはこれを、6か月の時点かそれより前に維持のための施術を行う根拠になりうると述べています(Ziade et al. 2026)。

もうひとつ、高周波の機器治療のあとにポリヌクレオチドを追加した左右比較試験があります。25名を対象に、片側にポリヌクレオチド2mL、反対側に生理食塩水2mLを注入して6週間比べたものです(Kim 2026)。

機器治療後にポリヌクレオチドを追加(25名・左右比較・6週)
・経皮水分蒸散量は8.19から3.85へ低下(p<0.001)。対照側はほぼ変化なし
・角層の水分量は23.42から48.19へ上昇(p<0.0001)。対照側は有意差なし
・毛穴のスコアも改善
・真皮の厚さ、肌の弾力はいずれも有意差なし(弾力 p=0.573)
・シワは両側とも改善し、追加による上乗せは目立たなかった
※6週間・25名・1回の施術のみの探索的研究で、著者は事前の症例数設計を行っていないと明記しています。左右の割り当ては固定されています(Kim 2026)。

水分に関する指標は大きく動いた一方で、真皮の厚さと弾力には差が出ませんでした。効いた項目と効かなかった項目の両方が報告されている研究です。

ポリヌクレオチドの美容医療での有効性をまとめた系統的レビューは、採用された9本の研究がいずれも低品質から中程度の品質で、品質評価で満点に達した研究は1本もなかったと述べています。研究の設定と評価項目がばらばらでメタ解析ができず、「最適な使い方について合意は限られている。有効性と安全性を検証するには、厳密で質の高い研究が不可欠である」と結んでいます(Lampridou et al. 2025)。

5. 痛みについて

リジュランHBには局所麻酔薬が含まれています。

まず前提として、ポリヌクレオチド注射は痛みを伴います。注入手技に伴う相当な痛みが、この製剤の大きな制約です(Jeon et al. 2026)。市販のポリヌクレオチド製剤は麻酔成分を含まないものが多く、表面麻酔クリームなどで対応するのが通例です。

リジュランHBは、その麻酔成分であるリドカインを製剤そのものに含んでいます(2.8mg/mL)。

では、入れると本当に痛みは下がるのか。ヒアルロン酸フィラーで左右を比べた無作為化試験が3つあり、いずれも入れた側のほうが痛みが小さいという結果でした。

リドカインを入れた側で、痛みはどうだったか
・痛みの自己評価(10点満点)が、入れた側3.6/入れない側5.8(p<0.001)。医師の評価で「痛みなし〜軽度」だったのは、入れた側81%/入れない側36%
60名・二重盲検・3施設(Levy et al. 2009)

・100mmのスケールで、入れた側のほうが10mm以上痛みが小さかった人が91.9%。しわの改善と安全性に差はなし
62名・二重盲検・多施設(Lee et al. 2017)

・入れた側のほうが痛みが小さかったと答えた人が95.2%。100mmのスケールで平均38.6mmの差
62名・二重盲検・韓国2施設・0.3%リドカイン(Choi et al. 2020)

※いずれもほうれい線への注入で、ヒアルロン酸フィラーでの試験です。ポリヌクレオチド製剤で同じことを確かめた試験はありません。

ただし、感じ方には個人差が大きく、部位によっても変わります。リジュランHBそのもので痛みを測った研究は見つかりませんでした。メーカーの広報記事に痛みの軽減についての数字がありましたが、どう測ったのかは公開されていません(パマリサーチ 2024)。

「痛くない」とお約束できるものではありません。痛みが心配な方は、診察の際にその旨をお伝えください。表面麻酔の併用など、ご希望に応じた方法をご相談できます。

肌育注射は種類が多く、迷いやすいところです。決める前の段階でもご相談いただけます。

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痛みが心配な方は、その旨もあわせてお伝えください。

6. 承認されている範囲

ここは見落とされがちですが、選ぶときに知っておいていただきたい部分です。

リジュランHBは、韓国MFDSから医薬品ではなく「医療機器」として承認されています。区分は組織修復用生体材料の4等級(韓国の分類で最もリスクの高い等級)で、リドカインを含むため「医薬品・医療機器の複合組合品目」として扱われています。承認は2021年7月です(食品医薬品安全処 2021)。

韓国で承認されている使用目的

公式に記載されている使用目的は、次のとおりです(パマリサーチ n.d.)。

ヒアルロン酸ナトリウムとポリヌクレオチドナトリウムを皮下に注入し、物理的な修復を通じて成人の目尻の小じわ(Crow’s Feet)を一時的に改善するために使用する。

承認の範囲は「目尻の小じわ」で、「一時的に改善する」と書かれています。リジュラン・リジュランi・リジュランSの使用目的が「顔面のシワ」であるのに対し、HBだけ範囲が狭く定められています。顔全体の肌質改善や毛穴、クマなどは、承認された使用目的には含まれていません。

承認の根拠となった試験の内容も公開されています。盆唐ソウル大学病院で2018年10月から2019年8月に行われた、無作為割付・被験者と評価者の盲検・活性対照の試験で、64名が登録され53名が完了しました。18週時点のシワ重症度スケールの改善率は試験群62.26%、対照群54.72%で、対照機器に対する非劣性が示されています(食品医薬品安全処 2021)。

日本、欧州、米国での状況

リジュランHBの各国での承認状況(2026年10月8日に当院が各国の公開データベースとメーカー発表を確認した範囲)
国・地域状況
韓国医療機器として承認(2021年7月・4等級)
日本未承認。メーカーのブランドサイトも日本語で未承認医療機器であると明示
欧州(CE MDR)確認できず。2024年12月に取得が発表されたのはリジュラン・i・Sの3製品で、HBは含まれていません。EUの公式データベース(EUDAMED)で「rejuran」を検索すると、リジュラン・i・sの6件が登録されている一方、HBは0件でした
米国(FDA)確認できず。510(k)、市販前承認(PMA)、機器登録、機器識別データベース(GUDID)、医薬品ラベルのいずれにも、リジュランとパマリサーチ社の登録は見つかりませんでした
その他インドネシア(2024年5月発表)、ニュージーランド(2026年3月にMEDSAFEより取得・同年5月発表)で、医療機器としての品目許可取得がメーカーから発表されています

インターネット上には「FDA承認を取得している」と書かれたページもありますが、米国FDAの公開データベース(510(k)・PMA・機器登録・GUDID・医薬品ラベル)を検索した範囲では、リジュランもパマリサーチ社も登録が見つかりませんでした。欧州のCEマークについても、2024年12月に取得が発表されたのはリジュラン・リジュランi・リジュランSの3製品で、HBプラスはその中に入っていません。

承認の状況は変わりえます。ここに書いたのは、2026年10月8日に各国の公開データベースとメーカー発表を確認した結果です。

7. 受けられない方

韓国MFDSが公開している使用上の注意には、施術を行わない対象が具体的に列挙されています。リジュランHBに固有の項目があるため、該当するものがないかご確認ください(食品医薬品安全処 2021)。

施術を行わないとされている方(韓国MFDS公開文書より)
・リドカイン、または他のアミド型局所麻酔薬に過敏症のある方
・構成成分(ポリヌクレオチド、ヒアルロン酸、リドカイン)に過敏症のある方
・マンニトールに過敏反応のある方
・妊娠中、または授乳中の方
・小児、青少年、未成年の方
・非ステロイド性抗炎症薬、抗凝集薬、抗凝固薬、免疫抑制薬の投与を受けている方
・アレルギー性疾患、自己免疫疾患、サルコイド性肉芽腫病変、オスラー内膜炎(公開文書の韓国語原文表記は「Oslers 내막염」)のある方

使用しない部位・条件
・吸収されないフィラーで治療を受けた部位、最近フィラー治療を受けた部位
・炎症や感染などで損傷した皮膚
・血管内への注射、過量の使用

このうちリドカイン・アミド型局所麻酔薬とマンニトールの2項目は、これらが入っているリジュランHBだからこその禁忌です。歯科の麻酔で気分が悪くなったことがある方、局所麻酔で以前に不調が出た方は、必ず診察時にお申し出ください。

また、警告として次の記載があります(食品医薬品安全処 2021)。

血管内に注入された場合、失明などの重篤な副作用が発生しうるため、皮膚が薄く血管に注入される可能性が高い眉間、眼球に近い部位の使用は禁止を推奨し、施術時には特に注意すること。

目のまわりへの使用を希望される方は多いのですが、製造元の文書そのものが眼球に近い部位への使用に慎重な姿勢を示しています。どの部位にどの製剤を用いるかは、肌の状態と部位のリスクを見たうえで判断する必要があります。

8. 副作用と術後の注意

公開文書に記載されている副作用は、次のとおりです(食品医薬品安全処 2021)。

注入部位の炎症(赤み、腫れ、紅斑)に加えて、かゆみと痛み。これらは約1週間続くことがあると書かれています。ほかに注入部位のしこり、硬化、変色、そして治療効果が得られないこと。炎症が1週間以上続く場合は、速やかに受診してください。

承認試験での安全性の結果も公開されています。63名の安全性解析で局所の有害事象が10名・計27件。試験群7.94%(5/63)で14件、対照群7.94%(5/63)で13件と群間の差はなく、重大な有害事象は報告されていません。内訳は腫れが最も多く、変色、あざ、紅斑、かゆみが続きます(食品医薬品安全処 2021)。

リドカインを含む製剤であることに関連して、リドカイン注射剤で報告されている有害反応も記載されています。ショック、悪性高熱、中枢神経系の症状(震え、けいれん、眠気、めまい、吐き気など)、過敏症(じんましんなどの皮膚症状、浮腫)です(食品医薬品安全処 2021)。

施術後の過ごし方

一般的注意として記載されている内容(韓国MFDS公開文書より)
・注射後12時間はメイクを避ける
・2週間は日光、紫外線、寒冷、熱(サウナ、スチームサウナなど)への長時間の曝露を避ける
・ヘルペス(帯状の発疹)の既往がある方は、注射により再発する可能性がある
・ケロイド形成、色素沈着、肥厚性瘢痕に感受性のある方についての安全性は確立していない
・唇を大きくする目的での安全性・有効性は確立していない

ポリヌクレオチド注射の経過については、リジュランのダウンタイムの記事でも日ごとの流れを整理しています。

9. 回数と間隔の目安

どれくらい持つのか

リジュランHB単独で持続期間を測った試験はありません。参考になるのは、さきほどの42名の観察研究です(使われたのはリジュランではなく、別メーカーのポリヌクレオチド製剤です)。3か月時点が最も改善が大きく、6か月時点でも改善は保たれるものの減衰していました。著者らはこれを、6か月の時点かそれより前に維持の施術を行う根拠になりうるとしています(Ziade et al. 2026)。

何回・何本が目安か

回数を定めた比較試験は、リジュランHBについてはありません。公開されている情報としては、国際的な専門家パネルがまとめた実地の方法があります。34ゲージ・4mmの針で1か所あたり0.02〜0.04mLを3〜5mm間隔で注入し、1回に2〜4mLを使用する。推奨される手順は4週間隔で3回——とされています(Rho et al. 2026)。ただしこれは専門家の意見であり、比較対照のある試験ではありません。同じ論文も「現在の根拠の基盤は限られており、無作為化試験や組織学的な検証を含むさらなる研究が必要」と述べています。なおこの論文の著者には、製造元であるパマリサーチの関係者が含まれます。

この「1回に2〜4mL」という量を、リジュランHBの規格(1mL×1本)に当てはめると2〜4本にあたります。ただしこれはポリヌクレオチド製剤全般についての専門家の手順で、リジュランHBで本数を比べた試験はありません。針についても、製剤に付属するのは33ゲージ・4mm(食品医薬品安全処 2021)、専門家パネルが手技として挙げるのは34ゲージ・4mmで、いずれも細く短い針です。

実際に何回・どの間隔で行うかは、肌の状態とご希望を診察のうえで決めていくことになります。

【国内未承認の製剤についての重要事項】

■未承認であること
リジュランHB(リジュランHBプラス)は、日本国内において医薬品医療機器等法上の承認を受けていない未承認の製剤です。公的医療保険が適用されない自由診療となります。

■入手経路
国内に流通していないため、使用する場合は医師の個人輸入によることになります。個人輸入された医薬品等の使用によるリスクについては、厚生労働省「あやしいヤクブツ連絡ネット(個人輸入において注意すべき医薬品等について)」(https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/index.html)および「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」をご確認ください(厚生労働省 n.d.)。

■国内の承認医薬品等の有無
リジュランHBと同一の成分(ポリヌクレオチド・ヒアルロン酸・リドカインの配合)を有する国内承認の医薬品・医療機器はありません(2026年10月時点)。なお、しわの改善を目的とした注入材としては、国内で承認されたヒアルロン酸製剤があります。考え方が異なるため、どちらが適しているかは診察のうえでご説明します。

■諸外国における安全性等に係る情報
韓国では医療機器(4等級)として承認されており、インドネシア、ニュージーランドでも品目許可の取得が発表されています。欧州CE MDRおよび米国FDAについては、本製剤の承認を確認できていません。重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。

■主な副作用・リスク
注入部位の赤み、腫れ、紅斑、かゆみ、痛み(約1週間続くことがあります)、しこり、硬化、変色、効果が得られないこと。血管内に注入された場合、失明などの重篤な副作用が生じうるとされています。リドカインに関連して、ショック、悪性高熱、中枢神経系の症状、過敏症の報告があります。

■救済制度
国内で承認された医薬品・医療機器による健康被害には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品副作用被害救済制度および生物由来製品感染等被害救済制度があります。リジュランHBは未承認の製剤のため、いずれの給付対象にもなりません。また、国内で承認された医薬品・医療機器であっても、原則として承認された効能・効果、用法・用量および使用上の注意に従って使用されていない場合は、救済の対象になりません(医薬品医療機器総合機構 n.d.)。

10. よくあるご質問

Q. リジュランとリジュランHBは、何が違いますか。
A. 入っているものと容量が違います。リジュランの有効成分はポリヌクレオチドのみで、規格は2mLのシリンジが2本です。リジュランHBは、ポリヌクレオチドにヒアルロン酸とリドカイン塩酸塩(2.8mg/mL)が加わっていて、規格は1mLのシリンジが1本です。保管温度も、リジュランは室温、HBは冷蔵と指定されています。どちらが優れているという関係ではなく、組成の設計が異なる製剤です。
Q. 痛みはどのくらいですか。
A. 個人差が大きく、「痛くない」とお約束できるものではありません。前提として、ポリヌクレオチド注射は注入時の痛みが課題であることが査読論文に明記されています。市販のポリヌクレオチド製剤は一般にリドカインを含まず、表面麻酔クリームなどで対応するのが通例ですが、リジュランHBはリドカインを2.8mg/mL含む製剤です。ヒアルロン酸フィラーでは、同じ製剤にリドカインを入れたものと入れないものを左右で比べた無作為化試験が複数あり、配合した側で注入時の痛みが下がったと報告されています。ただし、ポリヌクレオチド製剤で同じことを確かめた試験はありません。なお、痛みが何割軽くなるという数字が出てきますが、出どころはメーカーの広報記事で、どう測ったのかが公開されていません。痛みが心配な方は診察時にお伝えください。
Q. どれくらい持ちますか。
A. リジュランHB単独で持続期間を測った試験はありません。参考になるのは、ポリヌクレオチド注射を42名に行った観察研究です(使われたのはリジュランではなく、別メーカーのポリヌクレオチド製剤です)。目のまわりのシワの評価スコアは3か月時点で最も大きく改善し、6か月時点でも改善は保たれるものの減衰していました。著者らはこれを、6か月の時点かそれより前に維持の施術を行う根拠になりうるとしています。効果の程度や持続には個人差があり、効果を保証するものではありません。
Q. 何回受ければよいですか。
A. リジュランHBについて回数を定めた比較試験はありません。国際的な専門家パネルは4週間隔で3回という手順を示していますが、これは専門家の意見であり、比較対照のある試験ではありません。別メーカーのポリヌクレオチド製剤を42名に注射した観察研究では、3か月時点で改善が最も大きく、6か月時点でも改善は保たれるものの減衰していました。実際の回数と間隔は、肌の状態とご希望を診察のうえで決めていきます。
Q. 目の下やクマに使えますか。
A. 慎重に判断する必要があります。韓国で承認されている使用目的は「成人の目尻の小じわを一時的に改善する」ことで、クマは含まれていません。さらに公開文書の警告には、血管内に注入された場合に失明などの重篤な副作用が起こりうるため、皮膚が薄く血管に入りやすい眉間や眼球に近い部位の使用は禁止を推奨する、と記載されています。どの部位にどの製剤を用いるかは、肌の状態と部位ごとのリスクを見たうえで判断します。
Q. 麻酔で気分が悪くなったことがあります。受けられますか。
A. 受けられない可能性があります。リジュランHBはリドカインを含むため、リドカインまたは他のアミド型局所麻酔薬に過敏症のある方は、施術を行わないとされています。ポリヌクレオチド、ヒアルロン酸に過敏症のある方、そして添加物であるマンニトールに過敏反応のある方も同様です。歯科の麻酔を含めて、局所麻酔で以前に不調が出たことがある場合は、必ず診察時にお申し出ください。
Q. ダウンタイムはどのくらいですか。
A. 公開文書には、注入部位の炎症(赤み、腫れ、紅斑)とかゆみ、痛みが約1週間続くことがあると記載されています。ほかにしこり、硬化、変色の可能性があります。炎症が1週間以上続く場合は、速やかに受診してください。施術後の過ごし方としては、12時間はメイクを避け、2週間は日光、紫外線、寒冷、熱(サウナなど)への長時間の曝露を避けるよう記載されています。
Q. 日本では承認されているのですか。
A. 承認されていません。日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない未承認の製剤で、公的医療保険が適用されない自由診療です。韓国では医療機器(4等級)として承認されていますが、欧州CE MDRと米国FDAについては、公開データベースを検索した範囲で本製剤の承認を確認できていません。未承認の製剤であるため、健康被害が生じた場合に国の医薬品副作用被害救済制度の給付対象にはなりません。
Q. 妊娠中・授乳中でも受けられますか。
A. 受けられません。韓国MFDSの公開文書で、妊娠中または授乳中の方には施術しないとされています。小児、青少年、未成年の方も同様です。また、非ステロイド性抗炎症薬、抗凝集薬、抗凝固薬、免疫抑制薬の投与を受けている方も対象に挙げられていますので、服用中のお薬は診察時にお知らせください。

11. まとめ

  • 公式の製品名は「リジュランHBプラス」で、「リジュランHB」はその略称です
  • 組成はポリヌクレオチド、ヒアルロン酸、リドカイン塩酸塩2.8mg/mLで、規格は1mL1本です
  • 別メーカーのポリヌクレオチド製剤を42名に注射した観察研究では、目のまわりのシワの自己申告スコアが3か月時点で最も改善し、6か月時点でも改善が保たれていました
  • ポリヌクレオチドと非架橋ヒアルロン酸の左右比較では、弾力・水分量・ざらつき・毛穴でポリヌクレオチド側の改善率が高く、重篤な有害事象の報告はありませんでした
  • ポリヌクレオチド注射は痛みが課題であることが論文に明記されており、HBはリドカインを含む製剤です
  • 痛みを数字で示したデータ(試験の方法・指標・人数)は公開されていません
  • 韓国で承認されている使用目的は「成人の目尻の小じわを一時的に改善する」ことです
  • 欧州・米国での承認は、公開データベースを検索した範囲で確認できていません
  • リドカイン、アミド型局所麻酔薬、マンニトールに過敏症のある方は受けられません
  • 国内未承認であり、健康被害が生じても国の救済制度の給付対象になりません

製剤の名前が増えると、どれを選べばよいのかかえってわかりにくくなります。判断に必要な材料を、わかっていることとわかっていないことを分けてお渡しすることが、私たちの役割だと考えています。

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参考文献

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この記事を監修したドクター

川嶋 俊幸

Toshiyuki Kawashima

資格・所属学会

  • 臨床医学博士
  • 日本脳神経外科学会 専門医
  • 日本癌学会
  • 日本てんかん学会
  • 日本定位・機能神経外科学会
  • 日本脳腫瘍学会
  • 日本認知症学会
  • 日本脳卒中学会
  • 日本脳神経血管内治療学会
  • 機能的定位脳手術技術認定医
  • American association for cancer research (US)
  • The Society for Neuro Oncology (US)

略歴

平成18年 4月
大阪市立大学医学部医学科 入学
平成24年 3月
大阪市立大学医学部医学科 卒業
平成24年 4月
市立島田市民病院臨床研修医
平成26年 4月
大阪市立大学医学部附属病院脳神経外科前期臨床研究医
平成27年 4月
大阪市立大学大学院医学研究科博士課程 入学
守口生野記念病院脳神経外科医師
平成30年 4月
大阪市立総合医療センター脳神経外科シニアレジデント
平成31年 3月
大阪市立大学大学院医学研究科博士課程 卒業
平成31年 4月
大阪市立大学医学部附属病院脳神経外科後期臨床研究医
令和2年10月
大阪市立大学医学部附属病院脳神経外科病院講師
令和4年 4月
大阪市立総合医療センター脳血管内治療科医長
令和5年 4月
大阪公立大学医学部附属病院脳神経外科
この記事を監修したドクター

川嶋 俊幸

Toshiyuki Kawashima

資格・所属学会

  • 臨床医学博士
  • 日本脳神経外科学会 専門医
  • 日本癌学会
  • 日本てんかん学会
  • 日本定位・機能神経外科学会
  • 日本脳腫瘍学会
  • 日本認知症学会
  • 日本脳卒中学会
  • 日本脳神経血管内治療学会
  • 機能的定位脳手術技術認定医
  • American association for cancer research (US)
  • The Society for Neuro Oncology (US)

略歴

平成18年 4月
大阪市立大学医学部医学科 入学
平成24年 3月
大阪市立大学医学部医学科 卒業
平成24年 4月
市立島田市民病院臨床研修医
平成26年 4月
大阪市立大学医学部附属病院脳神経外科前期臨床研究医
平成27年 4月
大阪市立大学大学院医学研究科博士課程 入学
守口生野記念病院脳神経外科医師
平成30年 4月
大阪市立総合医療センター脳神経外科シニアレジデント
平成31年 3月
大阪市立大学大学院医学研究科博士課程 卒業
平成31年 4月
大阪市立大学医学部附属病院脳神経外科後期臨床研究医
令和2年10月
大阪市立大学医学部附属病院脳神経外科病院講師
令和4年 4月
大阪市立総合医療センター脳血管内治療科医長
令和5年 4月
大阪公立大学医学部附属病院脳神経外科