マンジャロ(チルゼパチド)について調べていると、効果の話ばかりが目に入ってきます。けれど実際に始めるかどうかを決めるとき、知っておいたほうがよいのは、どんな薬なのか、どんな副作用があるのか、やめたあとはどうなるのかです。
この記事は、マンジャロの電子添文(2026年9月改訂・第11版)と査読を経た論文にもとづいて作成しています。当院が痩身を目的として行うマンジャロの処方は、国内で承認されていない使い方(適応外使用)です。費用・治療期間・副作用などの重要事項は、記事内の「マンジャロ(チルゼパチド)による自由診療について」に記載しています。必ずお読みください。
この記事の結論
- マンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認された薬で、痩身目的の使用は国内で承認されていません。
- GIPとGLP-1という2つの受容体に作用します。2型糖尿病の方を対象にした試験では体重の減少も報告されていますが、それは血糖の改善を主目的とした試験での副次的な結果です。
- やめると体重が戻る方向に動きます。海外の試験では、36週間使ったあと中止した群は、その後52週間で体重が14.0%増えました。
- 5%以上の方に消化器症状が出ます。まれに急性膵炎などの重大な副作用が報告されています。
- 使用できない方(禁忌)が定められています。飲み合わせの注意もあります。
1. どんな薬か
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、GIP/GLP-1受容体作動薬に分類される注射薬です。週1回、ご自身で皮下注射します。
国内で承認されている効能・効果は2型糖尿病のみです。電子添文には、使用にあたって「あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること」と記載されています(日本イーライリリー, 2026)。
痩身・ダイエットを目的とした使用は国内で承認されておらず、適応外使用にあたります。当院が行っているのはこの適応外使用であり、自由診療(保険適用外)です。
2. 作用のしくみ
食事をとると、小腸からGIPとGLP-1という2つのホルモンが出ます。これらは膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促し、血糖値を下げます。チルゼパチドは、この2つのホルモンの受容体に作用します。
あわせて、胃の内容物が出ていく速さをゆるやかにする作用があります。電子添文によると、この作用は初回投与後が最も大きく、投与を重ねると弱まっていきます(外国人のデータ)。食欲が抑えられ、食事量が減ることがありますが、効果には個人差があります。
インターネット上で「胃が小さくなる」と説明されていることがありますが、胃そのものが縮むという記載は電子添文にも論文にもありません。確認できるのは、上に書いた「胃の内容物が出ていく速さがゆるやかになる」という作用です。
3. 試験でわかること
ここで紹介するのは、2型糖尿病の方を対象にした試験の結果です。痩身を目的として使った場合の効果を示すものではありません。
日本人を対象にした試験(SURPASS J-mono)
食事療法・運動療法で血糖コントロールが不十分な日本人の2型糖尿病の方636例を対象に、チルゼパチドとデュラグルチド0.75mgを52週間比べた試験です。主要評価項目はHbA1c(血糖の指標)の変化量で、体重の変化は主要評価項目ではありません(Inagaki et al., 2022/日本イーライリリー, 2026)。
| 5mg | 10mg | デュラグルチド0.75mg | |
|---|---|---|---|
| HbA1cの変化(主要評価項目) | −2.37% | −2.55% | −1.29% |
| 体重の変化(副次的な結果) | −5.8kg | −8.5kg | −0.5kg |
| 副作用が出た方の割合 | 52.8% | 51.9% | 37.1% |
※当院で処方する用量は2.5mg〜10mgのため、15mg群の結果は掲載していません。ベースラインの体重は各群78〜79kg程度でした。効果には個人差があります。
4. やめたあと
始める前にいちばん知っておいていただきたいのが、ここです。
中止したあとの体重の変化(SURMOUNT-4)
4か国70施設で行われた試験です。糖尿病のない、BMI30以上またはBMI27以上で体重に関連する合併症のある成人が対象で、日本人を対象にした試験ではありません。36週間チルゼパチド(10mgまたは15mg)を使って平均20.9%減量したあと、670例を継続する群と偽薬に切り替える群に分け、さらに52週間観察しました(Aronne et al., 2024)。
| 継続した群 | 偽薬に切り替えた群 | |
|---|---|---|
| 36週→88週の体重変化 | −5.5% | +14.0% |
| 減った分の80%以上を維持できた割合 | 89.5% | 16.6% |
| 開始時から88週までの通算 | −25.3% | −9.9% |
読み取り方に注意が必要です。「+14.0%」は中止してからの52週間の変化であって、元の体重を超えたという意味ではありません。開始時からの通算では、切り替えた群も9.9%減った状態でした。それでも、続けた群との差は大きく開いています。
電子添文にも「本剤は持続性製剤であり、本剤中止後も効果が持続する可能性がある」と記載されていますが(8.3項)、長く見ればやめれば戻る方向に動く、というのがこの試験の結果です。
医師からのワンポイントアドバイス
「何か月で終わりますか」というご質問をよくいただきます。あらかじめ決まった期間はありません。この試験が示しているのは、減った体重を保つには続けることが必要になる場合がある、ということです。始める前に、続けられる費用と通院の形かどうかを一緒に確認しておくと、途中で困りにくくなります。
5. 主な副作用
電子添文で5%以上の方にみられるとされている副作用です。
悪心(吐き気)、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退
日本人を対象にした試験では、副作用が出た方の割合は5mgで52.8%、10mgで51.9%でした(前章の表)。多くは消化器の症状です。
重大な副作用
頻度は高くありませんが、次の重大な副作用が報告されています。
| 副作用 | 頻度 | 気づきやすい症状 |
|---|---|---|
| 低血糖 | 頻度不明 | 脱力感、強い空腹感、冷や汗、顔面蒼白、動悸、ふるえ、頭痛、めまい、吐き気、見え方の異常 |
| 急性膵炎 | 0.1%未満 | 嘔吐をともなう持続的な激しい腹痛 |
| 胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸 | 胆管炎0.1%未満、他は頻度不明 | 腹部の痛みなど |
| アナフィラキシー・血管性浮腫 | いずれも頻度不明 | ― |
| イレウス | 頻度不明 | 高度の便秘、おなかの張り、持続する腹痛、嘔吐 |
低血糖の症状に気づいたときは、すぐにブドウ糖や砂糖など糖質を含む食品をとってください。症状が続く場合や意識がもうろうとする場合は、速やかに医師の診察を受けてください。低血糖が起こる可能性があるため、車の運転や高所での作業をされる方は、あらかじめ医師にお申し出ください(電子添文 8.4項・8.5項)。
6. 使えない方
電子添文で禁忌とされているのは、次の3つです。
- この薬の成分でアレルギー症状が出たことがある方
- 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性の昏睡または前昏睡の状態にある方、1型糖尿病の方
- 重い感染症のある方、手術など緊急を要する状態にある方
このほか、次の方は診察でお申し出ください。処方できない場合や、慎重に判断する場合があります。
- 妊婦または妊娠している可能性のある方(電子添文9.5項)。妊娠する可能性のある方は、使用中および最終投与後1か月間の避妊が必要です(9.4項)
- 授乳中の方(9.6項)
- 胃の動きが大きく低下する病気のある方、膵炎にかかったことがある方、おなかの手術やイレウスをしたことがある方(9.1項)
- 開始時のBMIが23未満の方。有効性・安全性が検討されていません(8.9項)
飲み合わせの注意
飲み薬の避妊薬(経口避妊薬)をお使いの方はお申し出ください。この薬は胃の内容物が出ていくのを遅らせるため、とくに使い始めや増量した直後に、経口避妊薬の効果を弱めるおそれがあります(10.2項)。ワルファリンなど、効き方の調整が難しい飲み薬をお使いの方も同様です。
また、全身麻酔や深い鎮静をともなう検査・手術の予定がある方は、必ず事前にお申し出ください。胃の中に内容物が残りやすくなるためです(9.1.6項)。
そのほかの注意
- 下痢や嘔吐から脱水になり、急性腎障害に至るおそれがあります(8.12項)
- 使用中は甲状腺に関する症状の有無を確認し、異常があれば専門の医師の受診をご案内します。甲状腺髄様がんにかかったことがある方、および甲状腺髄様がんや多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴がある方では、この薬の安全性は確立していません(8.8項・15.2項)
- 薬剤との因果関係は明らかではありませんが、GLP-1受容体作動薬の使用後に、目の血流障害による視神経の病気(非動脈炎性前部虚血性視神経症)のリスクが上がる可能性を示唆する報告があります(15.1.2項)
- 注射は腹部・大腿部・上腕部に行い、同じ部位の中でも毎回場所を変えます(14.2項)
7. 治療の流れ
週1回、同じ曜日に皮下注射します。週1回2.5mgから始め、4週間投与したのち週1回5mgに増量します。その後は効果と副作用をみて、4週間以上の間隔をあけて増量することがあります。当院でお出しする用量は2.5mg・5mg・7.5mg・10mgです。
胃腸の症状などで体に合わない場合は、減量したり増量を先延ばしにしたりします(7.3項)。体重が減りすぎた場合は、減量または中止を検討します(8.9項)。
初診の際には、既往歴、服薬中のお薬、アレルギー歴、健康診断の結果などをうかがったうえで、医師が処方の可否と処方量を判断します。必要な情報が十分に確認できない場合は、処方をお断りしたり、お出しする量を限らせていただくことがあります。
初回は看護師が注射の方法をご説明します。ご自身で注射することが難しい方は、院内で注射を受けていただくこともできます。
打ち忘れたときは。次回の予定日まで3日間(72時間)以上あれば、気づいた時点で投与し、その後はもとの曜日に戻します。3日間(72時間)未満のときは投与せず、次の予定日に投与してください(電子添文 7.2項)。判断に迷うときはご連絡ください。
マンジャロ(チルゼパチド)による自由診療について
当院が痩身を目的として行うマンジャロの処方は、国内で承認されていない使い方(適応外使用)です。ご検討の前に、以下を必ずお読みください。
治療の内容・期間・回数
週1回、ご自身で皮下注射します(院内での注射も可能です)。2.5mgから始め、4週間後に5mgへ増量します。当院でお出しする用量は2.5mg・5mg・7.5mg・10mgです。あらかじめ決まった治療期間はありません。減った体重を保つには継続が必要になる場合があり、中止したあとに体重が戻ることがあります。続けるかどうかは、効果と副作用を確認しながら医師とご相談のうえ決めます。
費用(自由診療・保険適用外)
- マンジャロ 1本 3,250円〜12,980円(税込/用量とご購入本数により異なります)
- 初診料 3,300円(施術を受けていただく場合は無料)
- 採血(ご希望の方のみ)4,400円/院内での注射 2,200円
- オンライン診療の送料 10本以下 1,980円/12本以上 3,000円(目安)
1回のお会計はお薬代で3,980円(2.5mgを1本)〜126,000円(10mgを12本まとめて)です。用量別・本数別の価格は料金ページをご覧ください。
適応外使用に関する情報
未承認の使い方です。マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は2型糖尿病の治療薬として国内で承認されています。痩身・ダイエット目的での処方は国内で承認されていません。
入手経路。国内の医薬品卸売業者から、国内で承認された医薬品を仕入れています。個人輸入は行っていません。
国内の承認医薬品等。同一成分(チルゼパチド)の肥満症治療薬が国内で承認されています。使用できる医療機関・対象者に要件があり、美容・痩身目的では使用できません。
諸外国の情報。チルゼパチド製剤は米国(体重管理の製剤は2023年11月8日承認)および欧州(2022年9月15日承認、体重管理の効能は2023年12月11日追加)でも承認されていますが、いずれの国でも美容・痩身を目的とした効能は承認されておらず、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。米国の添付文書には、ラットで甲状腺C細胞腫瘍が認められたことに基づく枠組み警告があり、髄様甲状腺がんの既往歴・家族歴のある方と多発性内分泌腫瘍症2型の方は使用できないとされています。
救済制度。承認された効能・効果と異なる目的での使用のため、重い副作用が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
マンジャロについて相談したい方へ
痩身を目的としたマンジャロの処方は、国内で承認されていない使い方(適応外使用)です。ご自身に向いているかどうかも含めて、医師がご説明します。
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よくある質問
どのくらいで効果が出ますか?
個人差が大きく、一律の目安はお示しできません。日本人の2型糖尿病の方を対象にした試験は52週間かけて評価しています。電子添文には、3〜4か月投与して効果が不十分な場合は、より適切と考えられる治療への変更を考慮するという記載がありますが、これは2型糖尿病の血糖コントロールについての規定です。
やめたら戻りますか?
戻る方向に動きます。糖尿病のない肥満の方を対象にした海外の試験では、36週間使ったあと中止した群は、その後52週間で体重が14.0%増えました(続けた群は5.5%減)。ただしこれは中止してからの変化で、開始時からの通算では中止した群も9.9%減った状態でした。詳しくは第4章をご覧ください。
保険は使えますか?
使えません。国内で承認されている効能は2型糖尿病のみで、当院が行う痩身目的の処方は適応外使用のため、全額自己負担の自由診療となります。承認された効能・効果と異なる目的での使用となるため、重い副作用が生じた場合でも医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
他の人に譲ってもいいですか?
できません。処方したお薬は、ご本人のみがお使いください。他の方への譲渡・販売は法律で禁じられています。また、ご自身の判断で量を増やしたり、他の方の分をまとめて受け取ったりすることもお控えください。
まとめ
- マンジャロの国内での効能・効果は2型糖尿病のみです。痩身目的の使用は適応外使用で、自由診療になります。
- GIPとGLP-1の受容体に作用し、胃の内容物が出ていく速さをゆるやかにします。「胃が小さくなる」わけではありません。
- 日本人の2型糖尿病の方を対象にした試験では体重の減少も報告されていますが、主要評価項目はHbA1cで、体重は副次的な結果です。
- やめると体重が戻る方向に動きます。減った体重を保つには、続けることが必要になる場合があります。
- 5%以上の方に消化器症状が出ます。まれに急性膵炎などの重大な副作用が報告されています。
- 禁忌が3つ定められているほか、妊娠・授乳、飲み合わせ、全身麻酔の予定など、事前にお伝えいただきたいことがあります。
始めるかどうかを決める前に、費用と通院の形が続けられるものかどうかを確認しておくことをおすすめします。診察では、そのあたりも含めてご相談いただけます。
M&B美容皮フ科クリニック
当院では、医師の診察のうえでマンジャロ(チルゼパチド)の処方を行っています。痩身を目的とした使用は適応外使用です。費用・治療期間・副作用については、この記事内の「マンジャロ(チルゼパチド)による自由診療について」をご確認ください。
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参考文献
- Aronne, L.J., Sattar, N., Horn, D.B., Bays, H.E., Wharton, S., Lin, W.Y., Ahmad, N.N., Zhang, S., Liao, R., Bunck, M.C., Jouravskaya, I. and Murphy, M.A. (2024) ‘Continued treatment with tirzepatide for maintenance of weight reduction in adults with obesity: the SURMOUNT-4 randomized clinical trial’, JAMA, 331(1), pp. 38–48. doi: 10.1001/jama.2023.24945. Available at: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38078870/ (Accessed: 23 September 2026).
- Inagaki, N., Takeuchi, M., Oura, T., Imaoka, T. and Seino, Y. (2022) ‘Efficacy and safety of tirzepatide monotherapy compared with dulaglutide in Japanese patients with type 2 diabetes (SURPASS J-mono): a double-blind, multicentre, randomised, phase 3 trial’, The Lancet Diabetes & Endocrinology, 10(9), pp. 623–633. doi: 10.1016/S2213-8587(22)00188-7. Available at: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35914543/ (Accessed: 23 September 2026).
- 日本イーライリリー株式会社 (2026) 『マンジャロ皮下注アテオス 電子添文(2026年9月改訂・第11版)』. 日本標準商品分類番号 87 2499.
