マンジャロ(一般名チルゼパチド)を使っている方から、「お酒は飲んでもいいですか」というご質問をよくいただきます。会食や行事が続く時期はとくに気になるところだと思います。
この記事では、マンジャロの電子添文(医師・薬剤師向けの公式な文書)に実際に書かれていることを手がかりに、お酒との関係を整理します。推測は書かず、電子添文に記載がないことは「記載がない」と書きます。
マンジャロの日本での承認効能は2型糖尿病です。
この記事の結論
- 電子添文は、マンジャロ使用中の飲酒を禁止していません。「飲んではいけない」という記載はありません
- ただし電子添文は、「過度のアルコール摂取」を、低血糖を起こすおそれがある状態として挙げています
- どのくらいからが「過度」かの基準は、電子添文に示されていません。ここは量で線を引けないところです
- インスリン製剤やスルホニルウレア剤(SU剤)を一緒に使っている方は、とくに注意が必要です。電子添文は、これらとの併用時に意識を失うほどの重い低血糖が報告されていると記載しています
- 吐き気や下痢が出ているとき、食事が十分とれていないときは、飲酒を控えるほうが安全と考えます
1. 電子添文に書かれていること
マンジャロの電子添文には、「飲酒してはいけない」という記載はありません。禁忌(使ってはいけない場合)にも、飲酒に関する項目はありません。
一方で、低血糖を起こすおそれがある状態の一覧に、「過度のアルコール摂取」が挙げられています。
9.1.3 低血糖を起こすおそれがある以下の患者又は状態
脳下垂体機能不全又は副腎機能不全/栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態/激しい筋肉運動/過度のアルコール摂取
マンジャロ電子添文 9.1.3(2026年9月改訂・第11版)つまり電子添文は、飲酒そのものを止めているのではなく、飲みすぎたときに低血糖が起こりやすくなる状態の一つとして扱っています(医薬品医療機器総合機構 2026)。
あわせて、低血糖が起きたときの症状も具体的に書かれています。
11.1.1 低血糖(頻度不明)
低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常等)があらわれることがある。また、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤との併用時に重篤な低血糖症状があらわれ意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合は、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。
マンジャロ電子添文 11.1.1(2026年9月改訂・第11版)お酒を飲んでいると、低血糖の症状に気づきにくくなります。ふらつき、冷や汗、動悸、頭痛は、酔ったときの感覚と重なるためです。これは電子添文に書かれていることではなく、症状の性質からの私たちの判断ですが、注意していただきたい点です。
運転と高所作業
電子添文には、飲酒とは別に、次の記載もあります。
8.5 低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること。
マンジャロ電子添文 8.5(2026年9月改訂・第11版)飲酒時の運転は法律で禁じられていますが、お酒が抜けたあとも、低血糖には引き続き注意が必要という点は押さえておいてください。
2. なぜお酒で低血糖が起きるのか
電子添文は「過度のアルコール摂取」を挙げるだけで、その理由までは書いていません。理由については、厚生労働省の情報が参考になります。
肝臓は、血糖を保つためにブドウ糖をつくる働き(糖新生)をしています。お酒の量が肝臓の処理能力を超えると、この働きが抑えられます。その結果、血糖が下がりやすくなります(露木 2021)。
とくに注意したいのは、空腹のまま飲むときです。食事からの糖の供給がないうえに、肝臓からの供給も抑えられるため、低血糖が起こりやすい状況が重なります。
マンジャロを使っていると食欲が落ちることがあり、「あまり食べずにお酒だけ」という形になりやすい点にも気をつけてください。電子添文が低血糖を起こすおそれがある状態として、「過度のアルコール摂取」と並べて「不規則な食事摂取、食事摂取量の不足」を挙げているのも、同じところを見ています。
3. 併用しているお薬がある方
低血糖のリスクは、一緒に使っているお薬によって変わります。電子添文は、インスリン製剤やスルホニルウレア剤との併用時に、意識を失うほどの重い低血糖が報告されていると記載しています(医薬品医療機器総合機構 2026)。
| 併用しているお薬 | 電子添文の記載 |
|---|---|
| インスリン製剤 スルホニルウレア剤(SU剤) | 併用時に重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている(11.1.1) |
| 速効型インスリン分泌促進剤 | 併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある |
| α-グルコシダーゼ阻害剤 | 低血糖時の処置は、ブドウ糖を投与すること(砂糖では回復が遅れます) |
これらのお薬を使っている方は、飲酒の前に必ず担当の医師にご相談ください。また、お酒の席にはブドウ糖(ラムネ菓子など)を持っておくと安心です。
4. 吐き気・下痢が出ているとき
マンジャロでは、吐き気・嘔吐・下痢といった消化器の症状が出ることがあります。この時期にお酒が加わると、症状が重なります。
電子添文には、次の記載があります。
8.12 下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。
マンジャロ電子添文 8.12(2026年9月改訂・第11版)お酒には利尿作用があり、水分が失われやすくなります。吐き気や下痢が続いているときは、飲酒を控えて水分をとることを優先してください。
増量した直後は消化器の症状が出やすい時期です。増量のタイミングと会食が重なりそうなときは、あらかじめ医師にご相談いただくと調整できる場合があります。
吐き気や下痢がどのくらいの割合で、いつ起こりやすいのかは、マンジャロの副作用|吐き気・下痢にまとめています。
5. 膵炎とお酒
電子添文は、膵炎について次のように記載しています。
8.6 急性膵炎が発現することがあるので、急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。
9.1.2 膵炎の既往歴のある患者
急性膵炎は、アルコールが主な原因の一つに挙げられる病気でもあります。膵炎をしたことがある方、お酒の量が多い方は、はじめる前に必ず医師にお伝えください。
マンジャロと急性膵炎の関係は、別の記事で電子添文と臨床試験のデータをもとに詳しく整理しています。
6. お酒の量をどう把握するか
ここは正直に申し上げます。電子添文は「過度のアルコール摂取」と書いているだけで、何グラムから、何杯からという基準は示していません。マンジャロを使っている方にとっての安全な量は、決まっていないということです。
基準がない以上、できるのは自分がどれだけ飲んでいるかを数字で把握して、医師に伝えることです。厚生労働省は、お酒の量を「純アルコール量(g)」で捉える考え方を示しています(厚生労働省 2024)。
純アルコール量の計算
摂取量(mL) × アルコール度数(%/100) × 0.8(アルコールの比重)
例:ビール500mL(5%)= 500 × 0.05 × 0.8 = 20g
| お酒 | 量と度数 | 純アルコール量 |
|---|---|---|
| ビール | 500mL・5% | 20g |
| 缶チューハイ | 350mL・7% | 約20g |
| 日本酒 | 1合180mL・15% | 約22g |
| ワイン | グラス2杯240mL・12% | 約23g |
| ウイスキー | ダブル60mL・43% | 約21g |
ご自身の1回あたり・1週間あたりの量を出しておくと、診察のときに具体的にご相談いただけます。
7. 受診・ご相談の目安
次のような場合は、お酒を控えて、医師にご相談ください。
- 脱力感、強い空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、ふるえ、頭痛、めまい、吐き気、見えにくさが出たとき(低血糖の症状です。まず糖質を含むものをとってください)
- 嘔吐をともなう、持続する激しい腹痛があるとき(使用を中止して、速やかに受診してください)
- 吐き気や下痢が続いて、水分や食事が十分にとれないとき
- インスリン製剤・SU剤を併用していて、お酒を飲む予定があるとき
マンジャロ(チルゼパチド)による自由診療について
当院が痩身を目的として行うマンジャロの処方は、国内で承認されていない使い方(適応外使用)です。ご検討の前に、以下を必ずお読みください。
治療の内容・期間・回数
週1回(1か月あたり4回程度)、ご自身で皮下注射します(院内での注射も可能です)。2.5mgから始め、4週間投与したのち5mgへ増量します。5mgで効果が十分でない場合は、4週間以上の間隔をあけて2.5mgずつ増量することがあります(電子添文の用法及び用量)。胃腸の症状などで体に合わない場合は、減量したり、増量を先延ばしにしたりします。2.5mgのまま続けていただく場合もあります。当院でお出しする用量は2.5mg・5mg・7.5mg・10mgです。治療期間:あらかじめ定まった期間はありません。2.5mgから増量していく場合、当院で扱う最大量の10mgに達するまでに最短で12週間かかります(4週間ごとに2.5mgずつ増量した場合)。その後どのくらい続けるかに定めはなく、減った体重を保つには継続が必要になる場合があり、中止したあとに体重が戻ることがあります。続けるかどうかは、効果と副作用を確認しながら医師とご相談のうえ決めます。
費用(自由診療・保険適用外)
- マンジャロ 1本 3,250円〜12,980円(税込/用量とご購入本数により異なります)
- 初診料 3,300円(施術を受けていただく場合は無料)
- 採血(ご希望の方のみ)4,400円/院内での注射 2,200円
- オンライン診療の送料 10本以下 1,980円/12本以上 3,000円(目安)
1回のお会計はお薬代で3,980円(2.5mgを1本)〜126,000円(10mgを12本まとめて)です。これに上記の初診料・採血・院内での注射・送料が、必要に応じて加わります。用量別・本数別の価格は料金ページをご覧ください。
適応外使用に関する情報
未承認の使い方です。マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は2型糖尿病の治療薬として国内で承認されています。痩身・ダイエット目的での処方は国内で承認されていません。
入手経路。国内の医薬品卸売業者から、国内で承認された医薬品を仕入れています。個人輸入は行っていません。
国内の承認医薬品等。同一成分(チルゼパチド)の肥満症治療薬が国内で承認されています。使用できる医療機関・対象者に要件があり、美容・痩身目的では使用できません。
諸外国の情報。チルゼパチド製剤は米国(体重管理の製剤は2023年11月8日承認)および欧州(2022年9月15日承認、体重管理の効能は2023年12月11日追加)でも承認されていますが、いずれの国でも美容・痩身を目的とした効能は承認されておらず、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。米国の添付文書には、ラットで甲状腺C細胞腫瘍が認められたことに基づく枠組み警告があり、髄様甲状腺がんの既往歴・家族歴のある方と多発性内分泌腫瘍症2型の方は使用できないとされています。
救済制度。承認された効能・効果と異なる目的での使用のため、重い副作用が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
よくある質問
Q. マンジャロを打った日にお酒を飲んでもいいですか。
Q. どのくらいの量なら大丈夫ですか。
Q. 空腹でお酒を飲むのはよくないですか。
Q. インスリンやSU剤を使っています。飲んでいいですか。
Q. お酒を飲むと吐き気がひどくなりますか。
Q. 低血糖かもしれないと思ったら、どうすればいいですか。
まとめ
マンジャロの電子添文は、飲酒を禁止していません。禁止ではなく、「過度のアルコール摂取」を低血糖を起こすおそれがある状態として挙げている── これが電子添文の立ち位置です。
量の基準は示されていないため、安全な量をお伝えすることはできません。できるのは、起こりうることを知っておくことと、ご自身の量を把握して医師に伝えることです。
とくに、インスリン製剤やSU剤を併用している方、吐き気や下痢が出ている方、食事が十分とれていない方は、飲酒を控えるか、事前にご相談ください。
関連記事
参考文献
- 医薬品医療機器総合機構 2026, マンジャロ皮下注2.5mgアテオス/5mg/7.5mg/10mg/12.5mg/15mgアテオス 電子添文(2026年9月改訂 第11版), viewed 1 October 2026, <https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499422G1024_1_11/>.
- 露木寛之 2021, 「アルコールと糖尿病」, e-ヘルスネット(厚生労働省), 2021年10月19日更新, viewed 1 October 2026, <https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-01-013.html>.
- 厚生労働省 2024, 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(令和6年2月19日公表), viewed 1 October 2026, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html>.
