マンジャロ(チルゼパチド)を使うかどうかを考えるとき、多くの方が気にされるのが副作用です。どのくらいの人に、いつ、どんな症状が出るのか。そして出たときにどうすればよいのか。この記事では、その2つを一次資料にもとづいて整理します。
この記事は、マンジャロの電子添文(2026年9月改訂・第11版)、米国の添付文書、査読を経た論文にもとづいて作成しています。当院が痩身を目的として行うマンジャロの処方は、国内で承認されていない使い方(適応外使用)です。費用・治療期間・適応外使用に関する情報は、記事内の「マンジャロ(チルゼパチド)による自由診療について」に記載しています。必ずお読みください。
この記事の結論
- いちばん多いのは消化器の症状です。電子添文では悪心・嘔吐・下痢・便秘・腹痛・消化不良・食欲減退が「5%以上」に分類されています。これは下限を示す区分で、「5%くらい」という意味ではありません。
- 日本人の2型糖尿病の方を対象にした試験では、吐き気が出た方の割合は用量や併用薬によって8.8〜25.7%でした。当院でお出しする2.5〜10mgの範囲に限ると8.8〜19.6%です。
- 消化器の症状は増量していく時期に多く、その後は減っていきます。ただし、維持量に落ち着いたあとも起こらなくなるわけではありません。
- つらいときの食事の工夫は、ほとんどが臨床試験で確かめられたものではありません。電子添文に書かれている対処は「減量または増量の先延ばし」です。
- まれですが、急性膵炎・胆嚢炎・イレウス・アナフィラキシーなどの重大な副作用が報告されています。受診の目安を後半にまとめています。
お急ぎの方は、4. 吐き気・下痢がつらいときの対策と6. すぐに受診が必要なサインからお読みください。いま症状が出ていてご不安なときは、LINEか06-6747-9395へご連絡ください。
1. どんな副作用が、どのくらいの割合で起こるのか
まず、電子添文(添付文書)に書かれている頻度をそのまま見ていきます。ここに載っているのは副作用、つまり薬との因果関係が否定できないと判断された事象です。
| 分類 | 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 |
|---|---|---|---|
| 消化器 | 悪心(吐き気)、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退 | 腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび(げっぷ) | 鼓腸(おなかにガスがたまる) |
| 注射部位 | ― | 注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹など) | ― |
| 臨床検査 | ― | 膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少 | ― |
| その他 | ― | 疲労 | ― |
| 肝胆道 | ― | ― | 胆石症 |
| 循環器 | ― | ― | 心拍数増加、低血圧、血圧低下 |
| 精神神経系 | ― | ― | 味覚不全、異常感覚 |
| 免疫系 | ― | ― | 過敏症(湿疹、発疹、そう痒性皮疹など) |
| 眼 | ― | ― | 糖尿病網膜症 |
「5%以上」の読み方
この「5%以上」という区分は、5%を下回らないということしか意味しません。上限は示されていません。実際の数字は、次の章の臨床試験のデータで確認できます。
表の「糖尿病網膜症」は、もともと糖尿病のある方に関係する項目です。急激に血糖が改善したときに顕在化・悪化することがあるとされています(電子添文8.11項)。
「心拍数増加」には、電子添文で「心拍数の増加が持続的にみられた場合には患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと」という注意がついています。血圧低下についても同様の指示があります(8.13項)。立ちくらみやふらつきが続くときはご相談ください。
2. 日本人のデータでみると
日本人を対象にした第III相試験のデータが電子添文に掲載されています。いずれも2型糖尿病の方が対象で、52週間の試験です。
| 試験 | 用量 | 副作用が出た方の割合 | 主な副作用 |
|---|---|---|---|
| SURPASS J-mono (単剤) | 5mg | 52.8%(84/159例) | 便秘13.8%、食欲減退13.8%、悪心11.9%、下痢10.1% |
| 10mg | 51.9%(82/158例) | 悪心19.6%、便秘16.5%、食欲減退12.0% | |
| 15mg | 60.6%(97/160例) | 食欲減退21.3%、悪心19.4%、便秘11.9% | |
| SURPASS J-combo (飲み薬と併用) | 5mg | 43.2%(64/148例) | 悪心8.8%、便秘7.4%、食欲減退7.4% |
| 10mg | 52.4%(77/147例) | 悪心12.9%、便秘12.2%、下痢10.9%、食欲減退10.2% | |
| 15mg | 63.5%(94/148例) | 悪心25.7%、便秘14.2%、食欲減退12.2%、嘔吐9.5%、下痢8.1% |
吐き気だけをみても、用量や併用薬によって8.8%から25.7%まで幅があります。「5%くらい」という数字ではありません。
なお、当院でお出しする用量は2.5mg・5mg・7.5mg・10mgです。上の表のうち15mgは当院では扱っていません。2.5〜10mgの範囲でみると、吐き気は8.8〜19.6%です。
糖尿病のない日本人のデータ
当院で痩身を目的に使われる方の多くは糖尿病がありません。その方々に近い集団のデータとして、日本人の肥満症の方(糖尿病のある方は除外)を対象にした72週間の試験(SURMOUNT-J)があります。267名が割り付けられ、1施設を除いた225名が解析の対象となりました(Kadowaki et al., 2025)。
論文では、有害事象が起きた方の割合はチルゼパチド10mgで84%、15mgで86%、プラセボで69%と報告されています。もっとも多かったのは消化器の症状でした。
| 症状 | 10mg(73例) | 15mg(77例) | プラセボ(75例) |
|---|---|---|---|
| 便秘 | 16.4% | 27.3% | 6.7% |
| 悪心 | 13.7% | 23.4% | 4.0% |
| 下痢 | 12.3% | 9.1% | 4.0% |
| 嘔吐 | 6.8% | 11.7% | 4.0% |
| 食欲減退 | 12.3% | 7.8% | 1.3% |
| 注射部位反応 | 5.5% | 5.2% | 0% |
「副作用」と「有害事象」は別のものです。副作用は薬との因果関係が否定できないと判断されたもの、有害事象は因果関係を問わず観察期間中に起きたすべての事象です。有害事象のほうが数字は大きくなります。数字を比べるときは、どちらの指標なのかを確認してください。
3. いつ起こりやすいのか
マンジャロは2.5mgから始め、段階的に増やしていきます。消化器の症状は、この増やしていく期間に多く報告されています。
米国の添付文書には「悪心・嘔吐・下痢の報告の大半は用量漸増期に発現し、経時的に減少した」と記載されています(Eli Lilly and Company, 2026a)。
ただし、維持量に落ち着いたあとも起こらなくなるわけではありません。最大の忍容用量まで増やして36週間続けたあと、さらに52週間続けた期間(36〜88週)にも悪心8.1%・下痢10.7%・嘔吐5.7%の有害事象が報告されています(Aronne et al., 2024)。
よくある説明との違い
インターネット上では「血中濃度が安定すれば副作用は感じにくくなる」と説明されていることがあります。しかし、血中濃度の安定と消化器症状の軽減を結びつけた記載は、電子添文にも米国の添付文書にも主要な論文にも見あたりませんでした。添付文書が述べているのは「用量を増やしていく時期に多い」という、薬の量の変化との関連です。
4. 吐き気・下痢がつらいときの対策
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。対処法は根拠の強さがまったく違います。分けて説明します。
(1)電子添文に書かれている対処 ― いちばん確かなもの
マンジャロ電子添文 7.3項
「胃腸障害等の発現により忍容性が得られない患者では減量又は漸増の延期を考慮すること」(日本イーライリリー, 2026)
忍容性=副作用に耐えられる程度のこと。漸増=少しずつ用量を増やしていくこと。
つまり用量を下げる、あるいは次の増量を先延ばしにする。これが添付文書に明記された対処です。米国糖尿病学会の診療基準にも、消化器症状が出ている方には「より緩やかな用量漸増を考慮する」と記載されています(American Diabetes Association Professional Practice Committee for Diabetes, 2026)の表9.2。
実際に、エキセナチドという別の薬では、段階的に増やした群で吐き気・嘔吐が出た方が27%だったのに対し、段階を踏まずに同じ用量に達した群では56%でした(Fineman et al., 2004)。ただしこれはチルゼパチドの試験ではありません。なお Wharton らは、ゆるやかな増量を標準的な対応として推奨したうえで、増量ペースを変えても忍容性がはっきり改善しなかった研究もあるが、それらは臨床で行われるような個別に柔軟な増量までは検証していない、と述べています(Wharton et al., 2022)。
自己判断で減らしたり中断したりしないでください
用量の変更は医師が判断するものです。勝手に減らす・飛ばす・やめるといった対応は、効果の面でも安全の面でもおすすめできません。つらいと感じた時点でご連絡ください。
(2)診療基準に記載がある食事の工夫
米国糖尿病学会の診療基準 Standards of Care in Diabetes—2026 の表9.2には、消化器症状をやわらげるための食事の工夫として次の3つが挙げられています(American Diabetes Association Professional Practice Committee for Diabetes, 2026)。
- 食事の量を減らす
- マインドフルな食べ方(例:満腹になったら食べるのをやめる)
- 脂肪分や香辛料の多い食事を減らす
同じ項目には、胃不全麻痺(胃の動きが悪くなる病気)のある方には推奨されないとも書かれています。該当する方は診察でお伝えください。
(3)専門家が勧めているが、試験では確かめられていない工夫
次のような工夫も広く紹介されています。ただしこれらを検証した臨床試験は見あたりませんでした。
| 工夫 | 根拠 |
|---|---|
| 食事を数回に分ける | 専門家のコンセンサス(Gorgojo-Martínez et al., 2022)。「量を減らす」までは診療基準にありますが、「回数を分ける」は助言にとどまります |
| ゆっくり食べる | 専門家のコンセンサス(Gorgojo-Martínez et al., 2022)。診療基準には記載がありません |
| においの強いものを避ける | この記事が確認した範囲では、専門家のコンセンサス(Gorgojo-Martínez et al., 2022)以外に出典が見あたりません |
| 就寝直前の食事を避ける | 専門家のコンセンサス(Gorgojo-Martínez et al., 2022)。診療基準には記載がありません |
こうした助言について、GLP-1受容体作動薬の消化器症状への対処をまとめた別の総説は、その推奨の根拠を自ら次のように述べています。「臨床的・実臨床的エビデンスが限られているため、以下に述べる推奨の大部分は本論文の著者らの臨床経験に基づくものである」(Wharton et al., 2022)。試してみる価値はありますが、効くと証明されたものではないということです。
(4)工夫をしても続くとき
食事の工夫をしても症状が続く場合は、医師にご相談ください。日本糖尿病学会は、サルコペニアやフレイルのリスクが高い高齢者について、過度の体重減少や嘔気・嘔吐がみられた場合には薬剤の減量または投与中止を考慮する必要があるとしています(日本糖尿病学会 薬剤の安全使用に関する委員会, 2024)。
また、下痢や嘔吐が続くと脱水から急性腎障害に至るおそれがあります。電子添文の8.12項に記載されている注意です。米国の添付文書には、一部は血液透析を要した急性腎障害の市販後報告があることも記載されています(Eli Lilly and Company, 2026a)。水分がとれない状態が続くときは、様子を見ずにご連絡ください。
副作用のことで相談したい方へ
用量を下げる、増量を先延ばしにするなど、調整の選択肢があります。痩身を目的としたマンジャロの処方は、国内で承認されていない使い方(適応外使用)です。
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5. 消化器以外の副作用
注射部位の反応
紅斑(赤み)、そう痒感(かゆみ)、疼痛(痛み)、腫脹(腫れ)などが、1〜5%未満の方にみられます。
電子添文には、注射する場所について次のように記載されています。
マンジャロ電子添文 14.2項
「皮下注射は、腹部、大腿部又は上腕部に行う。同じ部位の中で注射する場合、毎回注射する場所を変更すること。静脈内及び筋肉内に投与しないこと」(日本イーライリリー, 2026)
同じところに繰り返し打たないよう、少しずつ場所をずらしてください。
低血糖
マンジャロは血糖値が高いときに働く仕組みのため、単独で使う場合の低血糖は起こりにくいとされています。実際に、日本人の2型糖尿病の方を対象にした単剤の試験(SURPASS J-mono)では、重症の低血糖は報告されていません。
ただし、重症ではない低血糖は起きています。同じ試験で、血糖値54mg/dL未満の低血糖が15mg群で2/160例(1.3%)報告されました(日本イーライリリー, 2026)。
ただし、「起こりにくい」と「心配ない」は違います。
- 電子添文では低血糖は重大な副作用に分類され、頻度は「不明」とされています。
- 電子添文では、スルホニルウレア剤・速効型インスリン分泌促進剤・インスリン製剤と併用する場合に低血糖のリスクが増加するおそれがあるとされています(10.2項)。実際に、基礎インスリンに追加した試験(SURPASS-5)では重症の低血糖が報告されました(10mg群1.6%、15mg群0.8%)(Dahl et al., 2022)。
- 糖尿病のない方を対象とした海外の試験では、低血糖の系統的な測定は行われていません。そのうえで血糖値54mg/dL未満が0.3%(プラセボ0%)と報告されており、添付文書は2型糖尿病のない成人でも低血糖が関連して報告されているとしています(Eli Lilly and Company, 2026b)。
脱力感、強い空腹感、冷や汗、顔色が悪くなる、動悸、手のふるえ、頭痛、めまいなどが低血糖の症状です。気づいたときは糖質を含むものをとってください。ほかにお薬を使っている方は、必ず診察の際にお伝えください。
胆石症・胆嚢炎
電子添文では、胆石症は1%未満の副作用、胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸は重大な副作用に分類されています。
76件の臨床試験(103,371名)をまとめた解析では、GLP-1受容体作動薬を使った方の胆嚢・胆道の病気のリスクは1.37倍でした。減量を目的とした試験に限ると2.29倍と高くなり、高用量・長期間でも高くなる傾向がありました(He et al., 2022)。
この解析はGLP-1受容体作動薬を対象としたもので、検索期間の関係からチルゼパチド(GIP/GLP-1受容体作動薬)の試験が含まれているかどうかは確認できていません。チルゼパチド自体のデータでは、減量を目的とした試験で胆石症が1.1%(プラセボ1%)、胆嚢炎が0.7%(プラセボ0.2%)と報告されており、急性の胆嚢の病気は体重減少そのものと関連していたとされています(Eli Lilly and Company, 2026b)。
おなかの痛みが続くときは、様子を見ずにご相談ください。
体重が減りすぎたとき
副作用そのものではありませんが、痩身目的で使う場合に関わる規定です。電子添文には「過度の体重減少がみられた場合は、本剤の減量又は投与中止を考慮すること」と記載されています(8.9項)。
あわせて「投与開始時のBody Mass Index(BMI)が23kg/m²未満の患者での本剤の有効性及び安全性は検討されていない」とも書かれています。BMIが低めの方は、そもそも試験で確かめられていない範囲だということです。
ほかのチルゼパチド製剤と一緒に使わないでください。電子添文に「本剤はチルゼパチドを含有しているため、ゼップバウンド等他のチルゼパチド含有製剤と併用しないこと」と記載されています(8.15項)。ゼップバウンドはマンジャロと同じ有効成分です。名前が違うため気づかずに重ねてしまうことがあります。
6. すぐに受診が必要なサイン
頻度はまれですが、電子添文には重大な副作用として次のものが挙げられています。
| 重大な副作用 | 頻度 |
|---|---|
| 低血糖 | 頻度不明 |
| 急性膵炎 | 0.1%未満 |
| 胆嚢炎 | 頻度不明 |
| 胆管炎 | 0.1%未満 |
| 胆汁うっ滞性黄疸 | 頻度不明 |
| アナフィラキシー、血管性浮腫 | いずれも頻度不明 |
| イレウス(腸閉塞を含む) | 頻度不明 |
次の症状があるときは、使用を中止して医師の診察を受けてください
- 嘔吐をともなう持続的な激しい腹痛(急性膵炎の初期症状)
- 高度の便秘、おなかの張り、続く腹痛、嘔吐(イレウス)
- 急な発疹・じんましん、顔やくちびるの腫れ、息苦しさ(アナフィラキシー、血管性浮腫)
- おなかの痛み、白目や皮膚が黄色くなる(胆嚢・胆道の病気)
- 下痢や嘔吐が続いて水分がとれない(脱水から急性腎障害に至るおそれ)
なお、膵炎と診断された場合は再び使用することはできません(電子添文11.1.2項)。急性膵炎については、マンジャロと急性膵炎の記事で、頻度の読み方と受診の目安を詳しく解説しています。
ご連絡先
診療時間内(平日・土日祝 10:00〜19:00)は、06-6747-9395 または LINE へご連絡ください。
診療時間外で上の症状があるときは、当院の返信をお待ちにならず、お近くの救急外来を受診してください。判断に迷うときは救急安心センター事業「#7119」で相談できます。
7. 日本の電子添文にはないが、海外で報告されているもの
日本の電子添文に記載がなくても、海外の添付文書に記載されているものがあります。諸外国での情報としてお伝えします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 脱毛 | 日本の電子添文に記載はありません。米国の体重管理の添付文書では「Hair Loss(脱毛)」として、用量別に5mg 5%・10mg 4%・15mg 5%(プラセボ1%)と報告されています |
| 浮動性めまい | 日本の電子添文の副作用一覧に記載はありません。米国の添付文書では4〜5%(プラセボ2%)です |
| 甲状腺C細胞腫瘍 | 米国の添付文書には枠組み警告があり、髄様甲状腺がんの既往歴・家族歴のある方と多発性内分泌腫瘍症2型の方は使用できないとされています。日本では禁忌ではなく、「安全性は確立していない」として経過観察の指示にとどまります |
このほか、日本の電子添文の第11版では、非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)について「薬剤との因果関係は明らかではないが、GLP-1受容体作動薬投与後に非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現リスク増加の可能性を示唆する観察研究等が報告されている」との記載が加わりました(15.1.2項)。因果関係が確かめられたものではありませんが、急に視野が欠ける・見えにくくなるといった変化があれば、眼科を受診してください。
8. 手術や内視鏡の予定があるときは必ずお伝えください
電子添文の第10版(2026年5月改訂)で加わった注意です。
マンジャロ電子添文 9.1.6項
「GLP-1受容体作動薬又はGIP/GLP-1受容体作動薬を投与中の患者において、術前の絶食指示を遵守したにもかかわらず、全身麻酔又は深い鎮静下で誤嚥が生じた症例が報告されている。本剤は胃内容排出遅延作用があり、胃内容物残留リスクが高まるおそれがある」(日本イーライリリー, 2026)
マンジャロには胃の内容物が出ていく速さをゆるやかにする作用があるため、絶食していても胃に食べ物が残っていることがあります。全身麻酔をともなう手術、深い鎮静での内視鏡検査などを受ける予定があるときは、その医療機関にマンジャロを使っていることを必ずお伝えください。
また、おなかの手術を受けたことがある方、イレウスになったことがある方は、事前にお知らせください(9.1.5項)。
9. 妊娠・授乳・避妊について
痩身を目的に使われる方に関わる注意です。診察でも確認しますが、あらかじめ知っておいてください。
妊娠中・妊娠の可能性があるとき
電子添文には「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤を使用すること」と記載されています(9.5項)。動物試験では、臨床最大用量をヒトに投与したときの曝露量を下回る曝露量で胎児毒性(骨格奇形、内臓奇形など)が認められています。
避妊
マンジャロ電子添文 9.4項
「妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること」(日本イーライリリー, 2026)
やめたあとも1か月間は避妊が必要とされています。
飲む避妊薬を使っている方
飲む避妊薬の効き目が弱まることがあります
電子添文の併用注意に「特に投与開始初期又は漸増後初期では併用する経口避妊薬の効果を減弱させるおそれがある」と記載されています(10.2項)。マンジャロに胃の内容物が出ていく速さをゆるやかにする作用があるためです。飲む避妊薬を使っている方は、始めるときと増量したあとに注意が必要です。米国の添付文書は、投与開始後4週間と、増量するたびに4週間は、飲み薬以外の避妊法に切り替えるか、コンドームなどの方法を追加するよう指示しています(Eli Lilly and Company, 2026a)。必ず診察でお伝えください。
授乳中
電子添文には「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することがある」と記載されています(9.6項)。お子さんへの影響は分かっていません。
そのほかのお薬
ワルファリンなど、効きすぎても効かなくても困るお薬(治療域の狭い飲み薬)を使っている方は、併用に注意が必要とされています(10.2項)。お薬手帳をお持ちください。
10. よくあるご質問
吐き気は必ず出ますか
必ず出るわけではありません。日本人の2型糖尿病の方を対象にした試験では、吐き気が出た方の割合は用量や併用薬によって8.8〜25.7%でした(日本イーライリリー, 2026)。出方には個人差があります。
副作用がつらいときは自分で量を減らしてもよいですか
おやめください。用量の変更は医師が判断するものです。電子添文には「減量又は漸増の延期を考慮すること」と書かれており(7.3項)、調整の選択肢はあります。自己判断で減らしたり飛ばしたりせず、まずご相談ください。
市販の吐き気止めを飲んでもよいですか
自己判断での併用はお控えください。飲み合わせの確認が必要ですし、吐き気の原因が急性膵炎など別の問題である可能性もあります。電子添文には「胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、慎重に対応すること」との記載があります(8.7項)。まず医師にご相談ください。
副作用は続けていれば慣れますか
報告の多くは用量を増やしていく期間に集中しており、その後は減っていきます(Eli Lilly and Company, 2026a)。ただし、維持量に落ち着いたあとも起こらなくなるわけではありません。最大の忍容用量で36週間続けたあと、さらに52週間続けた期間にも悪心8.1%・下痢10.7%の有害事象が報告されています(Aronne et al., 2024)。
他の方に薬を分けてもよいですか
できません。処方したお薬は、ご本人のみがお使いください。他の方への譲渡・販売は法律で禁じられています。また、ご自身の判断で量を増やしたり、他の方の分をまとめて受け取ったりすることもお控えください。
まとめ
副作用は、起こる前提で備えておけば、たいていは調整できます。用量を下げる、次の増量を先延ばしにする、という選択肢が電子添文に定められています。困ったときに早く相談できる状態にしておくことが、いちばんの対策です。
今日からできること
| できること | 根拠の確かさ |
|---|---|
| つらいときは、我慢せず早めに医師に伝える | 電子添文に規定あり。忍容性が得られない場合は減量または漸増の延期を考慮するとされています(7.3項) |
| 脂肪分や香辛料の多い食事を減らす。食事の量を減らし、満腹になったら食べるのをやめる | 中程度。米国糖尿病学会の診療基準に記載がありますが、この助言そのものを検証した試験はありません |
| 注射する場所を毎回ずらす | 電子添文に規定あり(14.2項) |
| ゆっくり食べる、食事を数回に分ける、においの強いものを避ける、就寝直前の食事を避ける | 低い。専門家の臨床経験にもとづく助言で、試験で確かめられたものではありません |
| 下痢や嘔吐が続くときは水分をとる。とれないときは連絡する | 電子添文に規定あり。脱水から急性腎障害に至るおそれがあるとされています(8.12項) |
そして、6. すぐに受診が必要なサインにある症状(嘔吐をともなう激しい腹痛、高度の便秘とおなかの張り、息苦しさ、水分がとれない下痢や嘔吐)があるときは、使用を中止して受診してください。
医師からのワンポイントアドバイス
副作用のご相談でいちばん多いのが「これくらいで連絡していいのか」というためらいです。むしろ早いほうが選択肢が多く残ります。増量の前にご連絡いただければ、そのまま増やすか、もう少し今の量で続けるかを一緒に決められます。つらいのを我慢して続けないでください。
マンジャロ(チルゼパチド)による自由診療について
当院が痩身を目的として行うマンジャロの処方は、国内で承認されていない使い方(適応外使用)です。ご検討の前に、以下を必ずお読みください。
治療の内容・期間・回数
週1回(1か月あたり4回程度)、ご自身で皮下注射します(院内での注射も可能です)。2.5mgから始め、4週間投与したのち5mgへ増量します。5mgで効果が十分でない場合は、4週間以上の間隔をあけて2.5mgずつ増量することがあります(電子添文の用法及び用量)。胃腸の症状などで体に合わない場合は、減量したり、増量を先延ばしにしたりします。2.5mgのまま続けていただく場合もあります。当院でお出しする用量は2.5mg・5mg・7.5mg・10mgです。治療期間:あらかじめ定まった期間はありません。2.5mgから増量していく場合、当院で扱う最大量の10mgに達するまでに最短で12週間かかります(4週間ごとに2.5mgずつ増量した場合)。その後どのくらい続けるかに定めはなく、減った体重を保つには継続が必要になる場合があり、中止したあとに体重が戻ることがあります。続けるかどうかは、効果と副作用を確認しながら医師とご相談のうえ決めます。
費用(自由診療・保険適用外)
- マンジャロ 1本 3,250円〜12,980円(税込/用量とご購入本数により異なります)
- 初診料 3,300円(施術を受けていただく場合は無料)
- 採血(ご希望の方のみ)4,400円/院内での注射 2,200円
- オンライン診療の送料 10本以下 1,980円/12本以上 3,000円(目安)
1回のお会計はお薬代で3,980円(2.5mgを1本)〜126,000円(10mgを12本まとめて)です。用量別・本数別の価格は料金ページをご覧ください。
適応外使用に関する情報
未承認の使い方です。マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は2型糖尿病の治療薬として国内で承認されています。痩身・ダイエット目的での処方は国内で承認されていません。
入手経路。国内の医薬品卸売業者から、国内で承認された医薬品を仕入れています。個人輸入は行っていません。
国内の承認医薬品等。同一成分(チルゼパチド)の肥満症治療薬が国内で承認されています。使用できる医療機関・対象者に要件があり、美容・痩身目的では使用できません。
諸外国の情報。チルゼパチド製剤は米国(体重管理の製剤は2023年11月8日承認)および欧州(2022年9月15日承認、体重管理の効能は2023年12月11日追加)でも承認されていますが、いずれの国でも美容・痩身を目的とした効能は承認されておらず、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。米国の添付文書には、ラットで甲状腺C細胞腫瘍が認められたことに基づく枠組み警告があり、髄様甲状腺がんの既往歴・家族歴のある方と多発性内分泌腫瘍症2型の方は使用できないとされています。
救済制度。承認された効能・効果と異なる目的での使用のため、重い副作用が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
M&B美容皮フ科クリニック
当院では、医師の診察のうえでマンジャロ(チルゼパチド)の処方を行っています。痩身を目的とした使用は適応外使用です。費用・治療期間・適応外使用に関する情報については、この記事内の「マンジャロ(チルゼパチド)による自由診療について」をご確認ください。
お電話:06-6747-9395(平日・土日祝 10:00〜19:00)
コース契約なし・完全都度払い制/布施駅から徒歩3分/オンライン診療にも対応しています
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参考文献
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